戦場の様子を知った「ぼく」が涙を流す場面。内田さんはnakabanさんの絵について「体当たりで、感じたことをぶつけている絵。そのエネルギーはみなさんに伝わるはず」といいます=『ひとのなみだ』(童心社)から

 『ともだちや』など人気絵本の作者で、詩人の内田麟太郎さん(83歳)が、戦争をテーマにした絵本を初めてつくりました。えがいたのは、今とつながる近未来の戦争です。作品にこめた思いや、子どものころに体験した戦争について聞きました。8月15日は「終戦の日」です。(中塚慧)

内田麟太郎さん=7月26日、東京都小平市

心が「ロボットに されていた」

「今の戦争」をテーマに

絵本の名前は『ひとのなみだ』。ある日、戦争が始まり、ロボットの兵隊が戦地に送られます。「ぼく」はテレビで、ロボットがたおした敵の数を知ります。国は勝ち続け、人々はおどり、歌います。ところが、だれかが戦場の映像をテレビに流しました。お母さんを呼ぶ子どもの声が聞こえます。「ぼく」は、自分の心が「ロボットに されていた」「ひとごろしに なっていた」と気づきます。

太平洋戦争(1941~45年)が終わったときに4歳だった内田さん。これまで、戦争のお話を書いてきませんでした。80代になり、恩人の編集者からたのまれて、ようやくこのテーマと向き合いました。

2022年にロシアがウクライナに攻めこんで今も続く戦争では、ドローンなど無人兵器が使われています。「若い人たちに橋がかかるよう、『今の戦争』をえがきたい」。そんな思いで創作に臨みました。

絵本で「ぼく」が人の心を失う感覚を、内田さんはこう説明します。「テレビで戦争のニュースを見た後にチャンネルを変えると、お笑いがやっている。亡くなった人のことを、次の瞬間は忘れています」

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