フランスの首都パリで28日から開かれるパラリンピックの注目競技を紹介します。今回は目かくしを着け、ボールを投げ合うゴールボールです。試合中、選手は音や振動で相手とかけ引きします。会場では心の中で声援を送りましょう。

音をたよりにボール投げ合う

1チーム3人、目かくし着けて

視覚に障がいがある選手の競技です。選手は障がいの程度にかかわらず「アイシェード」と呼ばれる目かくしを着け、まったく見えない状態でプレーします。

バレーボールと同じ大きさのコートに1チーム3人が立ち、決められたエリアからボールを投げます。ねらうゴールは高さ1.3メートル、はば9メートル。使うボールはバスケットボール大で、中に鈴が入っています。

パラ東京大会のゴールボール女子3位決定戦で、ボールを止める日本代表の選手=2021年9月、千葉市の幕張メッセ ©朝日新聞社

予測、かけ引き…はげしい攻防

ボールの転がる音や選手同士のかけ声、ゆかの振動などから、相手の動きを予測して、ボールを投げたりふせいだりします。選手は鈴が鳴らないように工夫して投げる、足音を消す、ゆかをたたいて音を出すなどして相手とかけ引きします。1試合は前後半それぞれ12分です。

観客のみなさん、お静かに!

選手は音をたよりにプレーをします。審判が「Quiet please!(お静かに)」と声をかけたら、観客はゴールが決まるまで静かに見守らなくてはいけません。ベンチにいる味方も試合中は声をかけることが禁止されています。

高いバウンドやスピードのあるボールでゴールをねらうのも見どころの一つ。男子のトップ選手の投げるスピードは時速60~70キロにもなります。そんなボールも体をはって止める様子から、「静寂の中の格闘技」ともいわれます。

日本代表にメダルの期待

第2次世界大戦で視覚に障がいを負った軍人のリハビリのために考えられたものでした。1976年のカナダ・トロント大会から正式競技になりました。

日本は男女ともにパリ大会へ出場します。女子は初出場した2004年のギリシャ・アテネ大会で銅メダルを獲得。12年のイギリス・ロンドン大会で金メダル、21年東京大会では銅メダルでした。現在世界ランク2位で金メダルをねらえる位置にいます。男子は21年東京大会で初出場し、連続出場をつかみました。世界ランクは現在6位です。

【競技日程】

ゴールボール 8月29日~9月5日

(朝日小学生新聞2024年8月14日付)