
相談
通塾中の小4女子の保護者です。できるだけ多くの学校のオープンキャンパスやイベントに参加したほうがよいのでしょうか? 学校の選択肢が広がるのはよいですが、最終的に「決められない」となりそうで悩むところです。
【浜学園】教えて!松本学園長
できるだけ、いろいろな学校を見ていただきたいというのが私の正直な思いです。 中学校に入学した後に、近所のお家のお子さんが通っている学校や電車内で見かける学生さんの学校に対して「隣の芝生は青い」という感情をもってしまうことがあります。
中高一貫校に6年間通うとなると、よいことばかりではないでしょう。楽しくて毎日がバラ色ということはなく、嫌になることがあったり何かにつまずいたりすることもあると思うのです。
そうなった時に「あっちの学校のほうがよかったのではないか」と思わないために、できるだけ通える範囲の学校をいろいろと見に行くことをおすすめします。
その時に、保護者の方が以前からもっている先入観などに捉われないように注意してください。というのも、男女別学だった学校が共学化していたり、進学校の印象がなかった学校が進学校化していたりするからです。
ご質問者さんの言われるように「決められなくなりそう」というのも、理解できます。 学校説明会に行くと、その学校のよい面を熱心にアピールされるわけですから、受験生や保 護者が目移りしてしまうのも当然です。
お子さんが小学4年生くらいであれば、「我が子にはどんな高校生になってほしいのか」を考えてみられるとよいでしょう。
例えば大学受験をめざして一生懸命に勉強してほしいのか、部活動などいろいろなことにチャレンジして青春を謳歌してほしいのか。
ご家庭によって理想の学校生活というのをおもちだと思うのです。そしてご家庭によって価値観も違います。その中で最も求めておられるのは何でしょうか。それを認識しながら、さまざまな学校を見に行っていただきたいです。
一度、「保護者の方が子どもに望む高校生活」というのを、ご家族で話し合われてみてください。そして、その高校生像を心にもちながら学校を見に行ってください。
さまざまな学校が、さまざまな取り組みをしています。見に行かれると「こういうことが、できるんだ!」「こういう価値観もあるんだ!」という発見があることでしょう。 こういった発見は、実際に学校に足を運んでこそ得られます。
ただ、ご質問者さんが言われるように、目移りしすぎないようにすることも必要です。 そのために「我が子に、このようになってほしい」という思いが可能になりそうな学校はどこだろうか・・・ということを心に置きながら、説明会などに行ってみていただきたいです。
例えば、中には「テストを頻繁に行います」と説明会で述べる学校もあります。そうすると 「しっかりと勉強を見てくれる、いい学校だな」と思う保護者と、「せっかく中高一貫校に進学するのだから、中学の間は余裕のある学生生活を送らせたい」と思う保護者がいます。
学校側はよい取り組みとしてアピールしますが、受け取り方は人によって違うわけです。 ですから、「子どもを、こんなふうに育てたいな」という思いをもって、いろいろな学校を見てください。
「目移りする」というのは、実は「いいな」と思える学校がたくさん見つかったということなのです。とてもよいことでもあるのです。こういったことも、「親の受験」なのです。家庭の価値観の中で子どもは生きていますので、その価値観に合っている学校が、きっと合うのだと思います。
学校選びは、ある意味「縁」でもあります。ただし、その縁には、さまざまな機会をもたなければ出会えません。出会うことなく、すれ違うことだってあるのです。ですから時間の許す限り、学校に足を運んでいただければと思います。
松本 茂

進学教室 浜学園 学園長。浜学園講師歴24年。社会科主席主管を務めたのち、2022年4月に学園長に就任。朝日小学生新聞での連載など子ども向け時事問題提供に取り組んでいる。
浜学園とは
浜学園は1959年創立。灘中合格者数19年連続日本一をはじめ、関西最難関中の8校でも合格者数日本一を達成するなど、関西でトップの実績を上げる進学塾です。本部は兵庫県西宮市。2022年現在、関西・東海・沖縄に46教室を開校しています。

「朝小プラス」は朝日小学生新聞のデジタル版です。時事問題に出そうなニュースから勉強アドバイスまで、中学受験に役立つタイムリーな記事が盛りだくさん!