「自分たちのことは自分たちで決めたい」――。そんな思いから生まれたのが民主主義です。大切なのが選挙。私たちは自由な選挙を通じて、自分と考え方の近い候補者や政党に投票できます。みなさんが実際に投票できるのは18歳から。そのときに備えて、いまの日本で何が問題で何が必要とされているのか、さまざまな「論点」について考えていきましょう。

性別や財産、税金を納めた額などに関係なく、一定の年齢になったすべての国民が参加できる選挙を「普通選挙」といいます。かつての日本では、厳しい条件を満たした一部の男性のみが参加できる「制限選挙」が行われていました。制限をなくし、女性が政治に参加できるようになるなど、世界の国々が今の普通選挙に至るまでには長い歴史があったのです。
❶普通選挙のはじまり
フランスでは、身分により選挙権が得られる「制限選挙」が行われていましたが、1792年に男性に限って普通選挙が認められるようになりました。19世紀から20世紀にかけて欧米諸国に普通選挙が広まりました。
1994年、南アフリカ共和国で普通選挙が実現
1948年以降、南アフリカ共和国では「人種隔離政策」が行われていました。選挙権があるのは白人のみで、非白人は選挙に参加できませんでした。1991年に人種差別に関する法律が廃止されたのち、人種を問わず国民が選挙に参加できるようになりました。
❷女性参政権のはじまり
ニュージーランドで女性たちが署名運動を何度も行い、1893年、世界初の女性参政権が実現しました。当時のニュージーランドはイギリスの植民地でしたが、男女ともにイギリスよりも早く普通選挙を実現しています。こうした流れを受け、第一次世界大戦後にはヨーロッパの大半で女性の政治参加が認められるようになりました。
2011年、サウジアラビアで女性の参政権が認められる
サウジアラビアの国会議員は、国王による任命によって選出されるため、国政選挙はありません。地方選挙では男性のみに選挙権・被選挙権があたえられていましたが、2011年に女性が参政権を得て、2015年に初の女性議員が誕生しました。
❸日本の選挙の歴史
1890年の第1回衆議院議員選挙では、投票は一定額以上の税金を納める満25歳以上の男性に限られていました。その後、制約が徐々に取りはらわれ、1945年には20歳以上のすべての男女に選挙権が認められ、普通選挙が実現しました。選挙権の広がりは、国民による民主主義が実現することを意味しています。
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