
同じ苦しみ「だれにも味わわせたくない」
今年のノーベル平和賞が11日、原子爆弾(原爆)の被害を受けた生存者でつくる組織「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」に決まりました。ノーベル委員会は授賞の理由を「核兵器が二度と使われてはならないことを証言を通じて示してきた」としています。(小貫友里、関田友衣)
広島市役所で発表の中継を見守った日本被団協の代表委員、箕牧智之さんは「本当にもう……うそみたい」と涙をうかべて喜びました。
太平洋戦争中の1945年8月、アメリカ(米国)軍が広島と長崎に原爆を投下。原爆の爆風と熱線はあらゆるものをこわし、たった2発で、その年末までに21万人以上の命をうばいました。
原爆の特徴の一つが大量の放射線を放つことです。人の体の深くに入りこみ、長い時間をかけて深刻な健康被害をあたえます。自分たちに起きたことをだれにも味わわせたくない――。日本被団協はそんな思いから、体験を伝える活動や核兵器をなくす署名集めなどをしてきました。国際会議に積極的に参加し、世界にもうったえました。

日本はいまも参加せず
こうした活動の一つの成果が「核兵器禁止条約」です。国際連合(国連)で2017年に122か国・地域の賛成で採択され、21年1月に発効しました。ところが、世界にはいま約1万2千以上の核兵器があり、核を持つ国は条約に背を向けています。日本も核兵器禁止条約に参加していません。
日本被団協は12日、会見を開きました。喜びをかみしめる一方で、代表委員の田中煕巳さんは、核を減らすことは「期待した通りには発展していない」と指摘。「ノーベル平和賞は(日本の参加に向けた)すばらしい呼びかけになる」と強調しました。
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