「自分たちのことは自分たちで決めたい」――。そんな思いから生まれたのが民主主義です。大切なのが選挙。私たちは自由な選挙を通じて、自分と考え方の近い候補者や政党に投票できます。みなさんが実際に投票できるのは18歳から。そのときに備えて、いまの日本で何が問題で何が必要とされているのか、さまざまな「論点」について考えていきましょう。
会社に勤める人たちは、働いた見返りとして給与(給料)を得ます。日本の平均給与は30年前と比べて上がっておらず、金額は、経済が成長し続けているアメリカの半分ほどです。みなさんが大人になるまでに、日本の平均給与を上げるにはどうしたらよいでしょうか。給与を上げる政府の取り組みについて知り、考えてみましょう。

❶アメリカの給与はなぜ高い?
アメリカには、アップルやマイクロソフトなど、世界で有数のお金をかせぐIT(情報通信)企業があり、そこに勤める人たちの給与は高額です。勤務年数ではなく成果で給与が決まる企業が多く、年収アップのために転職する人も少なくありません。
❷日本の給与が上がらない理由
日本の平均給与は1995年ごろと比べて上がっていません。1990年代初めに「バブル経済」が崩壊した後に経済の成長がにぶくなったこと、それにともない正社員でなく「非正規」で働く人が増加したこと、生産性が低く長時間働いても成果が上がらないこと、成果ではなく年齢や勤続年数で給与が決まる企業が多いこと、などが挙げられます。
❸非正規雇用がなく平等なアイスランド
アイスランドには、正規・非正規といった雇用(やとわれること)の区別がありません。同じ仕事であれば、同一の給与を支払うよう法律で定められています。働く時間で給与が決まるため、雇用形態や性別を理由に給与が下がることがなく、労働者全体の給与が底上げされています。
物価が上がらないと給与も上がらない
日本の物価は他国に比べると、それほど上がっていません。モノの値段が上がらないのはうれしいことのように思えますが、企業の利益が増えず、従業員の給与も増やせません。好景気でモノの値段が上がれば、企業の利益が増えて給与が上がりやすくなります。近年、日本でも物価が上昇していますが、これは好景気による物価上昇ではなく、原材料費や光熱費が上がったことなどが原因で、企業の利益にはつながりにくいのです。さらに「円安」も物価上昇に影響をおよぼしています。
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