「自分たちのことは自分たちで決めたい」――。そんな思いから生まれたのが民主主義です。大切なのが選挙。私たちは自由な選挙を通じて、自分と考え方の近い候補者や政党に投票できます。みなさんが実際に投票できるのは18歳から。そのときに備えて、いまの日本で何が問題で何が必要とされているのか、さまざまな「論点」について考えていきましょう。
男性と女性の仕事の内容と労働時間が同じなら、年収(1年間の収入)はその人の役職や成果によって決まるはずです。しかし、ほとんどの国では、男性のほうが女性よりも年収が多いのが実情です。背景には、その国の文化や、今も残る男女差別的な価値観、仕事と子育ての両立の難しさなどがあります。男女の年収格差が小さい国からは、格差をなくすヒントを得ることができるはずです。

❶男女の年収格差が小さい国は何がちがう?
北欧など男女の年収格差が比較的小さい国では、女性管理職の割合が30~40%です(日本は13%)。また、育児に費やす時間も男女の差が小さく、女性が男性と同じように働きやすい環境にあると考えられます。
❷日本の男女の年収格差が大きいのはなぜ?
日本の「非正規雇用」(正社員でない、やとわれ方)の割合は、男性22.2%に対して、女性54.4%です(2020年)。非正規雇用のほうが給与が安い傾向があるため、年収に男女差が生じるのです。ただし、正社員でも男性と女性では差がある場合もあります。仕事で男性を優遇する風潮が残っている、女性管理職が少ない、女性のほうが子育ての負担が大きいといった「ジェンダーギャップ」が背景にあります。
❸中東・北アフリカの経済格差が大きいわけ
中東と北アフリカには、男女の年収格差が大きい国が多くあります。背景にはイスラム教の教えがあると考えられます。イスラム教では、男性が働き、女性が家で子どもを育てるという考えが根強く、働く女性が少ないのです。また教育の男女格差が大きいことも理由です。
日本のジェンダーギャップ指数は世界で何位?
「ジェンダーギャップ指数」は男女平等の度合いを表す数値で、1に近づくほど男女平等とされています。男女の年収格差や管理職の割合などを判断基準にふくめていて、6月に発表された2024年版での日本の指数は0.663で146か国中118位。これはG7(主要7か国)で最下位です。
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