政治とお金の問題が争点に/米軍基地への意見分かれる

衆院選では有権者が、日本の政治をになう「政権」を選びます。政権をあずかってきた与党の自由民主党(自民党)と公明党にとっては、自分たちの政策の「通信簿」をもらう機会です。

対する野党は、政権や与党の問題点や、できていない政策をかかげて、代わりに政権を任せてほしいとお願いします。

今回の選挙で投票のゆくえに影響しそうなのが「政治とお金」の問題です。与党と野党のちがいが公約に表れています。

政治とお金 裏金の問題が次々見つかった自民党が公約の最初にあげたのは「ルールを守る」こと。「政治への信頼回復に全力で取り組む」と約束しました。公明党も「クリーンな政治」にするため、政治に必要なお金を毎年チェックする機関を設けるなどの案を出しました。

対する立憲民主党など野党は「改革が十分でない」と強気です。裏金の出どころになった「会社や団体からの献金」の禁止といった、与党があげない対策を打ち出しています。

外交や安全保障 与党の自民党と野党の立憲民主党はともに「アメリカ(米国)との同盟を軸にする」としています。もっとも、沖縄県名護市の辺野古で続く米軍の基地建設については、自民党は「着実に進める」、立憲民主党は「中止する」と、立場が分かれます。

「防衛費は国内総生産(GDP)の2%分を目安に増額をめざす」(日本維新の会)、「核兵器禁止条約に参加する政府に」(日本共産党)などの政策もあがっています。

うめ立て工事が行われている辺野古の沿岸部=8月、沖縄県名護市 ©朝日新聞社

多くの党が教育無償化・災害対策の強化めざす

教育 ほとんどの党が、家計の負担を減らす「無償化」をめざしています。ただし無償にする範囲は「高校などの高等教育まで」か、「大学や大学院も」とするかでちがいがあります。  学校で学ぶ内容を提案する党も。たとえば「英語科目を強化しつつ『コミュニケーション』を必修科目に」(日本維新の会)、「日本の歴史や神話を学ぶ教育内容に」(参政党)などです。

経済 今は税率10%が基本の消費税について意見が分かれています。与党は公約で特にふれず。対して日本維新の会は「8%」、国民民主党は「5%」、れいわ新選組は「廃止」と、それぞれ引き下げる案を出しています。

災害対策 多くの党が、より力を入れていく考えです。自民党と公明党は「防災庁」、れいわ新選組と社民党は「防災省」を置く案です。「災害時のデマ情報の対策をする」(国民民主党)といった案もあります。

大雨で水につかった仮設住宅で、片付けのボランティアをするようす=9月、石川県輪島市 ©朝日新聞社

主要政党の特色のある公約

子どもの学び

公明党 午前は集団学習、午後は個別学習にするなど、一人ひとりに合う学びで自己肯定感を育てる

立憲民主党 いじめや虐待などの問題が起きたときに、調査や提言をして子どもの権利を守る「子どもコミッショナー」を設ける

日本共産党 全国学力テストを中止して、異常な競争教育をただす

国民民主党 「ギフテッド」と呼ばれる特性を持つ子どもたちの能力を理解し、専門性をのばす教育制度を取り入れる

国の成長や経済

自民党 人工知能(AI)の分野で国際的なリーダーシップを発揮して、「世界一AIフレンドリーな国」を実現する

れいわ新選組 日本の「ものづくり」を支える、職人や技術者の雇用を増やし、賃金を引き上げる

社民党 大企業に税を課す代わりに、消費税を3年間ゼロにする

政治の改革

日本維新の会 子どもに投票権を与えて親が代わりに投票する「0歳児投票権制度」などの導入を検討する

参政党 重要な法案は国民投票をして、その結果をふまえて国会で改めて採決する

調べ学習のヒント

公約は各党のホームページで公開されていて、「憲法」「再生可能エネルギー」「食料自給率」「マイナンバーカード」などのテーマでも意見が分かれます。気になる人は深ぼりしてみましょう。

(朝日小学生新聞2024年10月24日付)