本番を想定した規模の大きな模擬試験(模試)が本格的に実施される時期になりました。どのように活用すると、より力を高めることができるのでしょうか。麻布個人指導会の先生たちにポイントを聞きました。(協力:麻布個人指導会)
1. 目標を定めて臨もう
模試を受けるときは、あらかじめ目標を決めておきます。「時間配分(解答のペース)を意識しながら解く」「ケアレスミスをしない」といった具合に、実現したいことを具体的にイメージします。
模試は本番の入試と同じような雰囲気で、いろいろなことに取り組める機会でもあります。塾や家庭教師の先生から受けたアドバイスも試してみることをおすすめします。国語なら「問題の文章(素材文)で重要な部分に印をつける」、算数なら「条件を図にあらわして考える」……。教わったこつを本番さながらの試験で用い、その手ごたえも確認しましょう。うまくいかなければ改善点をさぐり、次回以降の模試でクリアすべき目標にします。

2. まちがえた理由を明確に
この時期の模試でもっとも大切なのが受けたあとの見直しです。自分が苦手にしている単元や分野を具体的に洗い出し、その克服をめざすことが欠かせません。模試が「力を高めるための教材」と位置づけられるのも、そのためです。
模試を受けた当日か、遅くても数日以内に解答や解説と照らしあわせ、自己採点に取り組みます。まちがえた問題があれば、必ず理由を明らかにします。
「目標を設定する→模試を受ける→目標を達成できたかどうかを確認する→自分自身の課題をみつけて克服するための勉強に力を入れる→次の模試に向けて目標を設定する」。こうした流れを一つのセットとしてとらえ、本番の入試をめざします。

3. 全体の正答率に目配り
成績表には、さまざまな数値が示されます。それぞれの科目(教科)の得点や偏差値、志望校の合否判定(合格可能性)などです。こうした数値は力の伸び具合をチェックしたり、受験する学校を検討するときの材料になったりしますが、いまの時期はそれほど気にする必要はありません。ただし、模試を受けた全体での正答率が高いにもかかわらず、まちがえた問題があれば注意しなければなりません。
多くの受験生が解ける問題で得点に結びつけられなければ、本番の入試で同じような出題があったとき、合否を左右する差になるかもしれません。こうした問題はテキストにもどり、基礎から復習するのが大事です。

4. 準備も本番と同じように
多くの受験生が臨む大規模な模試は、入試の予行演習と位置づけることができます。受けられる回数はある程度、かぎられていることから、本番を想定して事前の準備などについても取り組んでみましょう。
受験票や筆記用具など、持ち物のチェックはもちろん、前の日の就寝時間(時刻)や当日の起床時間なども「そのとき」をイメージ。ふだん通っている塾などで模試を受けるのでなく、志望校などが会場になる場合、経路や所要時間も確認。いくつかのルートを調べてみることも大事です。保護者のみなさんはつい、声をかけたくなるかもしれませんが、たとえ一度でも本人にまかせてみることで、入試への意識を高める経験になるにちがいありません。

(朝日小学生新聞2024年10月7日付)

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