左から自民党の石破茂首相=27日、東京・永田町の党本部 立憲民主党の野田佳彦代表=27日、東京・永田町の党本部 国民民主党の玉木雄一郎代表=27日、東京都新宿区 どれも©朝日新聞社

立憲など野党、大幅に増える

今回の選挙の前、自民党と公明党は合わせて279議席を持っていました。特に自民党は2012年の衆院選からずっと、一つの党で過半数をしめてきましたが今回、公明党と合わせても215議席と、過半数以下になりました。

一方で、与党の行いをきびしく追及した立憲民主党が、議席を98から148までのばしました。「対決より解決」と政策をうったえた国民民主党も、議席を7から一気に4倍の28に増やしました。

立憲民主党に次ぐ44議席だった日本維新の会は、大阪府を中心に多くの候補が当選しましたが、全体の議席は六つ減りました。れいわ新選組は日本共産党をぬき、野党の4番手に。参政党、社会民主党なども議席をとりました。

この結果、政権のかじとりは難しくなりました。首相になるには衆議院議員の多数の支持が必要ですが、今は野党が与党を数で上回っています。次の国会までに、さまざまなかけ引きがありそうです。

「政治とお金」が決め手 自民党ばなれ

元朝日新聞編集委員 国分高史さんの話

自民党が大きく議席を減らしたのは、議員の不祥事に対する有権者の怒りをあまく見たのが一番の原因です。最大のポイントは石破茂首相が「政治とお金」の問題で信頼回復の道を示せるかでしたが、まったく不十分でした。

選挙中にも「お金」 首相への期待低下

石破首相はけじめを示すため、裏金問題に関わった一部の議員を党の正式な候補にしませんでした。ところが選挙中、こうした候補が代表をつとめる党の支部に、2千万円をわたしていたことがわかりました。石破首相は「候補者ではなく党の支部にはらったお金」と説明しましたが、これは自民党の中でしか通用しない「言いわけ」にすぎませんでした。

石破さんは自民党の中でも筋を通す人とみられ、それが人気につながっていました。ところが首相になってからは、そうした期待を裏切ってばかりでした。そんな姿勢に、自民党を支持していた人たちもはなれていったのが、今回の選挙だったといえます。

(朝日小学生新聞2024年10月29日付)