人気アニメ「名探偵コナン」の主人公・江戸川コナンの「名字」の元となっているのは、推理作家の江戸川乱歩です。今年、生誕130年をむかえました。「少年探偵団」シリーズは、時をこえて多くの子どもたちに愛されています。立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター長の石川巧さんに、その理由を聞きました。

日常の先にある非日常の ぶきみな空気
江戸川乱歩は、大正時代末期から昭和にかけて活躍した推理作家です。1936~62年に発表された、子ども向けの「少年探偵団」シリーズが大ヒット。多くの小学生に愛読されています。
このシリーズは、名探偵・明智小五郎と、その弟子の小林少年が団長を務める少年探偵団が、変装の達人・怪人二十面相と対決する様子をえがいています。
石川さんによると、少年探偵団シリーズは、いつの時代も学校の図書室に入っています。
「怪人二十面相は、高価な美術品や宝石をねらう大怪盗ですが、血がきらいで、人をあやめない。乱歩は戦争の悲さんさを知る作家なので、暴力的で血の流れる小説を子どもに読ませたくなかったのかもしれませんね。そういった点で、少年探偵団シリーズは学校の図書室に向いているのです」
しかし、シリーズを通して、ぶきみな空気が流れています。乱歩の小説は、大人向けのものもふくめて「おどろおどろしいものが、日常と連続しているところにあるように書かれています。ふとした瞬間に、非日常にすべり落ちてしまうこわさがあります」。そこが、読者をどきどきさせるようです。
明智探偵と少年探偵団は、怪人二十面相と、たがいに知恵をしぼってトリックを使いこなしたり、相手の裏をかいたりします。「そうした競争関係のおもしろさは、時代をこえて子どもを夢中にさせるのではないでしょうか」
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