世界に14座ある8000メートル級の山々。写真家の石川直樹さんは23歳の時になかでも一番高いエベレストに登り、その後も登山を続けてきました。そして今年、最後のシシャパンマに登頂しました。山登りが好きな小学生のきょうだい、イッサさんとカホさんがインタビューしました。

雪崩の恐怖とたたかった14座目、食べたお菓子は・・・!?
Q(小学生きょうだいの質問)今回は14座最後の登山で、シシャパンマの登頂にかけていた思いは?
(石川さんの答え)14個目の山で、絶対登りたいって思ってたんだけど、去年の秋は雪崩に遭遇して登れなかった。今回は2回目だから、必ず登りたいなって思っていました。
シシャパンマって山に行くまでも大変なんです。チベットっていうところにある山なんだけど、チベットに入るための許可を取るのがまず大変。だから、登山よりも前に、山まで行けるかな?っていう心配があった。山まで行くことができたら、もう絶対がんばるぞって思ってました。
ところが、ベースキャンプってところに着いたら、3日間も雪が降り続いて。1メートル以上積もっちゃって、雪がやんだ日の夜は、テントで眠ろうとしていると、あちこちから雪崩の音がガーッてしていて、これはちょっと怖いな、やばいな、登れないかもしれないな、と不安に思っていました。でも、その後は雪が硬く締まって、そしたら登れた(笑)。そういう感じの登山でした。
去年雪崩があったところは通らないようにして、遠回りして、頂上に行きました。

Q 10月4日午後4時半にシシャパンマに登頂したとありましたが、頂上付近に泊まったのでしょうか? 何を食べて、どんな景色でしたか?
夕方4時半だったから、ちょっと遅い時間の登頂で、必死に下りました。第3キャンプっていう、標高7000メートルのところにある最後のキャンプに戻ったところで、ちょうど日が暮れて夜になった。明るいうちにテントにつかなきゃと思って、急いで戻って、フラフラになりながらテントに入ったらすぐに暗くなりました。
テントで何を食べたかっていうと、食欲も本当に何もなかった。疲れ果てていたのと、低酸素の影響で高所では食欲がなくなるんです。うーん何を食べたっけな。ちょっとお湯とかを飲んで寝袋にくるまったけど、ハッピーターンって知ってる? 湿ったハッピーターンとかをちょっと食べたりして、もうお湯とかしか飲まず、疲れちゃって寝ました。
山頂にいたのは15分くらいかな、写真や映像を撮ってすぐに下山を始めました。
シシャパンマはとにかく雪崩が多すぎて危ない。雪崩が起きないであろうルートを選んで行ったけど、それでも帰り道、通ったところで雪崩で流された跡が斜面についていました。リスクが大きく、何度も登る山じゃないなと思いましたね。

知らないものは「見てみよう」「行ってみよう」
(編集部の質問) 8000メートルの山に登り始めて14座が完結。どういう思いですか。
ずっとヒマラヤのことを考えてきたから、そろそろひと区切りしないとなあ、みたいな気持ちがありました。ずっと登り続けていると、時々死んじゃったりもするから、ずっとは登っていられないですね。
あと友達のシェルパも13個登ってシシャパンマが14個目の人が3、4人いたから、この友達と一緒に14個を祝えたら最高だなあって思っていました。これまでも喜びにあふれた遠征ばかりだったから、もっとどんどん登り続けていきたい気持ちもある。今後は、そんなに大きな遠征には出ないと思うけど、これからもずっとヒマラヤ周辺には通い続けるつもりです。
Q ずっと登り続けてきた、そのモチベーションって何ですか。
知らないものにであうって、怖いなって思う人もいるみたいなんだけど、僕は知らないものとか、見たことないものとか、謎なものごととか、そういうことにすごく惹かれるタイプ。もしそういうものを見つけたりしたら、自分で見てみよう、行ってみよう、確かめてみようって思うタイプです。
だから14個の山も、頂上に立ったら何が見えるかなとか、どんな環境で、麓にはどんな人が暮らしてるのかなとか、そういう気持ちでずっと通っていました。だから、途中で飽きたりもしなかったし、ずっとモチベーションがなくなりませんでしたね。
だいぶ興味が強かったんですね。
そうですね。興味、強かった。