アメリカ(米国)の大統領選挙が5日に行われます。共和党のドナルド・トランプさん(78歳)か、民主党のカマラ・ハリスさん(60歳)のどちらかが事実上の大統領に選ばれる見通しです。ただ、有権者は候補者に直接投票するのではなく、大統領を選ぶ「選挙人」を選びます。どんなしくみなのか紹介します。(正木皓二郎)

選挙人を選ぶ間接選挙
有権者が選ぶ選挙人は、米国全土に538人います。この数は、人口などに応じて50の州と首都のワシントンがあるコロンビア特別区にふり分けられます。例えば、人口が最も多いカリフォルニア州は54人で、最も少ないワイオミング州は3人です。
各地域で国民による投票が行われ、大半の州では、一票でも多く得た候補者がその州の選挙人の数を全て獲得します。538人のうち、過半数の270人の支持を得た候補者が事実上の大統領です。選挙人による投票は12月に行われ、正式に大統領が決まります。就任式は来年1月に開かれる予定です。
米国にはなぜこうした制度があるのでしょうか。米国の政治にくわしい同志社大学准教授の三牧聖子さんは、「米国が独立した18世紀ごろは文字が読める人や政治にくわしい有権者が少なかったのが理由」といいます。有権者の声を反映させすぎないよう、優れた選挙人に判断を任せるという考えがあったそうです。しかし、時代が変わり、今は形式的なものとなっています。
全米の声を反映できる?
選挙人制度は、全米の声を反映できるメリットがあるとされます。有権者による投票の数だけで大統領が決まる場合、候補者は人口の多い州の人々だけが喜ぶ政策をうったえるかもしれないからです。逆の見方もあります。2016年の選挙では、全体の得票数が対立候補者より約300万票少ないトランプさんが勝利。得票数が少なくても、選挙人が多い州で勝てば大統領になれる可能性があるため、民意が反映できないとの批判があります。
勝敗のカギをにぎるとされるのが、両党の支持率に大きな差がない七つの「激戦州」です。両候補者は、こうした地域へのうったえに最後まで力を入れるとみられます。
調べよう
米国には全部で50の州があります。知っている州の名前を教えてください。どんな地域か、何が有名か調べてみましょう。
(朝日小学生新聞2024年11月4日付)