
任期は2025年1月20日から
アメリカ(米国)の大統領選挙が5日に投開票され、前大統領で共和党のドナルド・トランプさん(78歳)の勝利が確実となりました。女性初の大統領をめざした民主党でいまの副大統領カマラ・ハリスさん(60歳)はおよびませんでした。これから米国はどう変わるのでしょうか。専門家は「自国優先の『アメリカ・ファースト』の流れが強くなる」と考えます。
「激戦州」で次々と勝利/就任時年齢は最高齢に
今回の大統領選挙はどちらが勝ってもおかしくないと考えられていました。しかし州ごとの開票が進むと、両党の支持率に大きな差がない「激戦州」で、トランプさんが次々と勝利しました。

大統領選挙は4年に1度行われ、同じ人が大統領になれるのは2回までです。2016年に初当選したトランプさんは、2期目をめざした20年の大統領選挙で、民主党のバイデン大統領に敗れました。
今回の大統領選挙への立候補を表明してからは、四つの刑事事件で起訴されたり、暗殺未遂事件にあったりしましたが、トランプさんはこれをはね返す姿をアピールし、支持者の結束を強めました。
共和党
ドナルド・トランプさんってどんな人?
誕生日 1946年6月14日
出身地 ニューヨーク州
これまで お父さんが経営していた不動産会社を引き継ぎ、「不動産王」に。テレビ番組でも「ユー・アー・ファイアード!(君はクビだ!)」という決めぜりふで人気に。2016年に共和党から大統領選挙に出て第45代大統領になる。
趣味 ゴルフ
好きな食べ物 ハンバーガー
米国の歴史上、再選に失敗した後に大統領になったのは、グロバー・クリーブランド大統領(1884年と92年に当選)以来、2人目です。
トランプさんは来年1月20日の2期目開始時点で78歳7か月。大統領の就任時年齢として史上最高齢になります。

米国の政治にくわしい上智大学教授 前嶋和弘さんの話
化石燃料に逆もどりか/アメリカ第一が加速
気候変動対策は大きく変わるでしょう。バイデン政権のもとで復帰した、地球温暖化対策の世界的なわく組み「パリ協定」からの2度目の離脱も考えられ、化石燃料の時代にもどる可能性が高いです。
「アメリカ・ファースト」的な考え方はバイデン政権でもみられました。トランプ大統領はこの流れを強めるでしょう。海外からの輸入にかける関税の引き上げを政策の中心にすえ、米国の産業を守るために動くと思います。関税が上がれば、日本経済にとっても痛手です。
ヨーロッパやアジア地域の安全保障には消極的になるかもしれません。日本への協力と引きかえに、主に経済的な利益を求める「ディール(取引)」が加わってきます。米国の軍事装備品や武器をもっと買うよう求めてくると思われます。
(聞き手・正木皓二郎)
(朝日小学生新聞2024年11月8日付)