Q 万博とは何?

A 参加国が技術や文化を展示するもよおし

■解説者 箱谷真司 朝日新聞ネットワーク報道本部(大阪)記者

万博は万国博覧会を略した言い方です。多くの国々が、その国の技術や文化、芸術などを伝える展示を行うもよおしで、1851年にイギリスのロンドンで始まりました。当時は「産業革命」の時代。各国が最先端の機械や工芸品などを展示して、自分たちの力を世界に示しました。89年、フランスのパリ万博で建てられたエッフェル塔など、特徴的な建築物が披露される場でもありました。

日本で初めて開かれたのは、1970年の大阪万博です。日本をふくむ77か国とその他地域が参加し、約6400万人が訪れました。目玉の展示は、アメリカ館の宇宙船アポロ12号が持ち帰った「月の石」、ソ連(いまのロシアなど)館の宇宙船ソユーズで、入場には数時間待ちが当たり前でした。

来年開かれる大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、161の国・地域が参加を表明。シンボルは、会場を取り囲むように建てられた「大屋根リング」です。世界最大級の木造建築物(1周約2キロ)で、のぼって会場を見わたしたり歩いたりできます。約2820万人の来場を見こみ、周辺で観光や買い物をする人が増えることも期待されます。

また、日本の南極観測隊が発見した「火星の石」が展示されることになりました。火星由来の隕石では世界最大級で、一般に広く公開されるのは初めてです。

展示が決まった「火星の石」=9月、東京都立川市の国立極地研究所 浴野朝香撮影

Q 大阪・関西万博はなぜ批判されるの?

A 建設費がふくらみ、建設のおくれも問題に

■解説者 箱谷真司 朝日新聞ネットワーク報道本部(大阪)記者

大阪・関西万博には、さまざまな問題が浮上しています。国、大阪府・市、経済界が3等分で負担する会場建設費は当初、1250億円とされていました。しかし2020年には、大屋根リング(344億円)の設置が決まるなどして、1850億円にふくれあがりました。

また去年の秋には、ロシアのウクライナ侵攻などの影響で資材の値段が高くなったなどとして、最大2350億円に増加。たび重なる増額で当初の2倍近くの税金が使われることになり、見通しがあまいと指摘されています。

さらに去年の夏には、「万博の華」である各国の展示館(パビリオン)の建設がおくれていることがわかり、十分な展示が見られないかもしれないと、批判が相次いだのです。今年3月には、会場の建設現場で地下から出ていたメタンガスに火がついて爆発が起き、会場の安全性も疑われました。

そもそも、インターネットで世界中の情報が得られる今の時代に、万博を開く意味があるのかと思う人もいます。大阪・関西万博は、こうした問題点や批判の声を乗りこえられるのか。開幕まで注目していく必要があります。

最近のニュース

チケットの販売は電子だけ→紙でも、に

去年11月に販売を始めた万博の入場券は、パソコンなどで買える電子チケットだけでした。しかし、ネットに慣れていないお年寄りたちから「買い方が分からない」などの声が多く寄せられ、今年10月13日からは、コンビニや旅行会社などで紙のチケットも売っています。

電子チケットは、万博に行く日時を事前に予約する必要があります。紙のチケットは予約なしで行ける日もありますが、混雑状況によっては、予約しないと会場に入れなくなる可能性もあります。会期中に1回入れるチケットの料金は、開幕前に買うと、満4~11歳は消費税こみ1700円、満12~17歳は3700円です(年齢は来年4月1日時点)。

■解説者
箱谷真司
朝日新聞ネットワーク報道本部(大阪)記者

(朝日小学生新聞2024年11月8日付)