

【理科編】☆From 灘
水と光 何がどう見えている?
雨が降り始めるとき、かわいたアスファルトの路面に雨粒があたると黒い点になります。でもよく考えてみてください。水は無色透明です。なぜ水にぬれたところが黒っぽくなるのでしょう。
かわいたアスファルトの表面をよく見ると、細かいでこぼこがあります。細かいでこぼこのあるものは一般的に白っぽく見えます。たとえば食塩や角砂糖は細かい粒の集まりで、一つひとつの粒は無色透明です。しかし粒がたくさん集まって白く見えます。
なぜ白く見えるのか。物体の表面に細かいでこぼこがあるとき、そこに光があたると、光は乱反射(いろいろな方向に進むこと)します。すると目には、表面の広い範囲から同じように光が届き、物体全体が白く見えるのです。かわいた地面やアスファルトも同じです。
さて、アスファルトがぬれると、でこぼこのすき間に水が入りこみ、水におおわれて表面はなめらかな状態になります。それによって乱反射の光が出なくなり、黒っぽく見えるのです。黒というのは光がない状態ですからね。
なめらかな表面のほうが光をよく反射するからもっと白く見えると思うかもしれませんが、そうはならないのです。鏡や水面のようななめらかな面は光をよく反射しますが、特定の方向にだけ光が出ていきます。乱反射ではありません。
反射した光が出ていく先に目がある場合は表面は明るく見えます。水面に映る太陽はまぶしいですよね。しかし光の届かない角度から水面を見ると、水面自体はむしろ暗いのです。

灘中学・高校 理科教諭 浜口隆之
(朝日小学生新聞2023年6月23日付)

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