【浜学園】教えて!松本学園長

浜学園には「公開学力テスト」という、全塾生そしてまだ通っておられないお子さんにも受けていただける実力テストがあります。小学校1年生の生徒さんは6月から、このテストが始まります。

このテストは月1回、日曜日に行われます。それもあってか1年生であれば、たいてい保護者の方やご家族が総出で生徒さんの送迎をされます。いつもその様子を、誠にありがたい気持ちで拝見しています。

テストが終了すると、子どもたちが解放された喜びとともに教室から出てきます。ですが迎えるご家族は、つい聞いてしまわれるんです。「できた?」と。

1年生の最初のうちは、子どもたちもテストが終わった喜びから「できた!」と言うんです。・・・しかし、これが不幸の始まりなのです。なぜなら実力テストでは、そんなに簡単に満点が出るわけではないですから。

「できた!」と言っていたのに間違えた箇所があったり簡単なミスがあったりすると、子どもは怒られるんですね。そうすると子どもの防衛本能はムクムクと発達するのです。そうなると、だんだん、保護者が子どもに「できた?」と聞くと「まあまあ」と答えるようになるのです。そして6年生くらいになると先に「終わった」などと言うようになったりするのです。

これはもう、しょうがないこと・・・と言ってしまえば身も蓋もありません。

例えば浜学園の復習テストは、今週習った内容を1週間ほど家庭学習でも取り組み、次の授業でテストをすることで定着度を確認するためのものです。定着度合いを見ますので、テス ト問題はテキストに掲載されているものを数値を変えて出題していたりします。そうすると 家庭学習の時点で問題にひそむ罠や、引っかかるポイントを把握していますから復習テストは乗り越えられるのです。

一方、公開学力テストは実力テストなので、簡単そうに見えても引っかかるポイントが潜んだ問題が出題されるのです。なんとなくパパパッと解いてしまう子どもたちには簡単にできたように見えるのですが、習熟度だけではなく実力を測るテストなので、引っかかるポイントにまともに引っかかる可能性があるのです。そこが復習テストと実力テストとの違いだと思います。

つまり「復習テスト」は取れるであろう問題を取れていなければ、そこをきちんと埋めましょうという発想のテストです。

一方、公開学力テストなどの実力テストは、代々の塾生たちも引っかかってきたような、間違いやすいだろうと考えて仕掛けられた罠もあるテストです。そういう罠に入試本番でも引っかからないでほしいという部分も含んでいます。だというのに、あまり意識せずにその罠に行くと、いとも簡単にかかってしまうのです。

このようなテストで罠にかかることは悪いことではありません。例えば浜学園の塾生たちが入試に強い理由は、テストで度々、そのような罠に引っかかった経験をしているからです。

子どもが引っかかったテスト問題を保護者が見て「解けていたはずなのに」と思えるものならば、解説を見たりせずに一度やり直しをさせてみるとよいでしょう。その時には1年生でも2年生でも3年生でも、計算用紙や余白の部分を使って式や図、表をしっかりと書かせてやり直しをさせてみてください。

そして保護者の方は「なんで、できなかったの?」と言うのではなく、「ここに引っかかったんだよ」と注意してあげてください。

「なんで?」ではなく「何が?」できなかったんだろう・・・ということであれば、実際に子どもにさせてみるとわかったりします。そして「こういう時はこういう考え方をしないといけないので、次からは間違えないようにしましょう」という方向でいけばよいと思います。

もし保護者の方が言うことで子どもが機嫌を損ねるようならば、塾で質問に行くようにしてください。そうすると講師と「こういう点に引っかかりやすい」というような話になるでしょう。

特に頭の回転が速い子どもは低学年のうちに簡単に罠にかかってくれることがあります。そういった経験も「ここで引っかかったことがあるな」という記憶になり、入試本番で活きるのです。 保護者の方も我慢するのは大変ですが、怒るのではなく、このようにしてみてください。

松本 茂

進学教室 浜学園 学園長。浜学園講師歴24年。社会科主席主管を務めたのち、2022年4月に学園長に就任。朝日小学生新聞での連載など子ども向け時事問題提供に取り組んでいる。

浜学園とは

浜学園は1959年創立。灘中合格者数19年連続日本一をはじめ、関西最難関中の8校でも合格者数日本一を達成するなど、関西でトップの実績を上げる進学塾です。本部は兵庫県西宮市。2022年現在、関西・東海・沖縄に46教室を開校しています。