

【理科編】☆From 灘
みなさんは「ひなたぼっこ」をしたことがありますか。冬の気温の低い日でも日当たりのよい場所で寝ころんでいると、しっかり暖かくなってきます。
太陽は大量の熱を作りだしそれを宇宙空間に放出しています。太陽だけでなく夜空に見える恒星はすべて、熱源として熱を出し続けています。
さて、閉め切った部屋の中でストーブをたき続けているとどうなるでしょう。熱が室内にたまっていき、室内の温度は上がっていきます。熱は壁などを通して部屋の外へ逃げるので、部屋の温度が無限に上がり続けることはありません。
宇宙を考えましょう。宇宙をひとつの部屋とみなすと、その中には無数の恒星があり、恒星は熱を出し続けています。
宇宙には外側の世界はありません。つまり熱の逃げる先がありません。
ということは、宇宙という部屋の中の温度は、上がり続けなければなりません。
宇宙ができて100億年以上、温度は上がり続けているはずなのに、実際には宇宙の温度は非常に低くて、むしろ下がり続けているのです。
熱の逃げ場のない室内で、ストーブをたき続けているのに温度が下がっていくとは、どういうことなのでしょう。
このなぞの答えは、宇宙が広がり続けているということです。部屋がどんどん大きくなり続けているわけです。だから、熱が生み出されても、薄まっていくので温度は上がりません。
宇宙の膨張は1929年にハッブルが発見しました。宇宙の膨張は多くのなぞを一挙に解決する大発見だったのです。

灘中学・高校 理科教諭 浜口隆之
(朝日小学生新聞2024年11月29日付)

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