連載コラム【近藤先生と休み時間】
中学受験に向けてプロ家庭教師の 近藤先生からのアドバイス!

長文読解の基礎となる語彙力。小学校4年生、5年生のうちから増やしていきたいですね。新聞がスラスラと読めるようになるのが三万語程度で、中学1年生からだと言われています。中学入試には大人が読むような新書や物語、普段の生活ではなかなか接することのない学術的な論文まで、幅広く出題されます。大人でも読みにくい文章です。けれど読める小学生もいます。その差は語彙力。言葉の数が多い子のほうが圧倒的に有利です。
でも本屋でよく見る「小学生のうちに身に付けたい1000語」のような語彙力を養う問
題集だけでは、身に付かないのが難しいところです。日本語は状況に応じて言葉の使い分けがあり、生きた現場で使わないと習得しづらいからです。また和語と呼ばれる「もどかしい」「つつましい」「あどけない」などといった言葉も、急速に子どもたちから消えていることを実感します。「もどかしい」は入試頻出和語ですが、使う大人がいないのでしょうね。
そうです、子どもたちの語彙数低下は、大人たちにも原因があるのです。
大人も最近は何でもネットで情報を仕入れるようになりました。そこはフレッシュ指数という、いかに早く読めるかにポイントが置かれた表現ばかりです。そのようなネット言語に親しんだ大人たちが、子どもたちにどう語りかけているのか、ちょっと見直してみませんか。
私の娘はある大手塾に通っていましたが、試験前に塾の先生が「黙祷」というのが恒例でした。ご存じでしょうが、「黙祷」は一般的には死者を悼む祈りとされています。精神集中をとなえたいなら、「黙想」がふさわしいと思います。
塾からしてこのような状態ですので、子どもだけが「語彙数が少ない」と責められるのは可哀そうかな、と思います。家庭で新聞や、塾のテキストなどを一緒に音読して、わからない言葉は調べてみる。そういった地道な作業が語彙数を増やす王道です。また入試対策だけではなく、人は言語で思考しますので、豊富な語彙力は、子どもがこの先立ち向かう問題への解決力にもつながるのです。
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(朝日小学生新聞2025年1月22日付)

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