塾検索サイト「塾選」が募集した「受験生応援川柳」の優秀作品5句が発表され、最優秀賞には「添削の 赤字の量だけ 想ってる」が選ばれました。

2024年9月~11月に募集され、全国から1,355句の応募がありました。選考基準は、合格を目指して勉強を頑張る受験生を応援する作品で、読んだ際にその場面や作者の人となりが思い浮かぶこととなっています。

最優秀賞と優秀賞、佳作3句とそれぞれの講評を紹介します。

■最優秀賞 「添削の 赤字の量だけ 想ってる」 受賞者名:桜小町さん

《講評》
 生徒への深い愛情と指導者としての葛藤が見事に表現された句でした。先生が「合格してほしい」という強い思いを込めるほど、答案の赤字が増えてしまう。その一方で、生徒にとって赤字は落ち込みの原因になるかもしれない──。この矛盾に悩む姿が、短い句の中で鮮やかに伝わります。「赤字の量だけ」という表現は、先生の情熱の深さを象徴し、「想ってる」という柔らかな言葉からは、先生の優しさと生徒を励ます気持ちが感じられました。教育の現場で生まれる心の機微が詰まった秀作です。

■優秀賞 「立ち向かえ 『不安』も受験の 一科目」 受賞者名:さささん さん

《講評》
 受験生にエールを送る、力強い一句と感じました。不安を「一科目」と表現する発想が斬新であり、受験の一部として前向きに捉える姿勢が伝わってきます。また、「立ち向かえ」という言葉からは、挑戦する気持ちや強さが力強く表現され、読む者に勇気を与えます。試験科目と同じように、不安にも向き合う覚悟を持つ大切さを教えてくれる、励ましに満ちた作品です。受験を超えた人生の教訓とも捉えられる、深みのある一句でした。

■佳作 「頑張れと 言えぬ分だけ 握る飯」 受賞者名:カズマゲドン☆さん

《講評》
 「頑張れ」と直接伝える代わりに心を込めて握られたおにぎりに、送り出す人の不器用ながらも温かい思いを感じました。特に「言えぬ分だけ」という表現に伝えたい気持ちの大きさや切なさが表現されており、多くの人が共感できる川柳なのではないでしょうか。受験や挑戦に送り出す保護者の姿を想像させる、心温まる作品です。

■佳作 「受験本 立って読む子に 席譲る」 受賞者名:江戸川散歩さん

《講評》
 受験シーズンの電車内という日常風景を切り取り、社会全体で受験生を応援するムードが描かれたほほえましい一句。優しさと緊張感が共存する描写が秀逸で、つり革に揺られながら集中して本を読む受験生のひたむきさと、その姿を目にして思わず席を譲る人の温かさがしっかりと伝わってきました。

■佳作 「寒空を 耐え頬染まり 桜咲く」 受賞者名:しげ3さん

《講評》
 受験期の厳しさとその先に訪れる喜びを、自然の移り変わりと重ね合わせた美しさがありました。「寒空を耐え」は冬の厳しい試練を象徴し、それに立ち向かう姿、「頬染まり」には寒さを耐える中での緊張感や期待感、さらには合格の喜びに頬を紅潮させる様子が浮かびます。最後の「桜咲く」に春の訪れと合格の象徴が表現されており、受験生の励みになる素敵な川柳でした。