連載コラム【近藤先生と休み時間】
中学受験に向けてプロ家庭教師の 近藤先生からのアドバイス!

「非・不・未・無」それぞれの接頭語をつけて3字の熟語を作りなさい、という国語の問題があります。正解は「非常識、不安定、未成年、無意識」などです。簡単に見えて、子どもたちはけっこう間違え、「無常識」と答えたりします。以前は、「非常識って、君たちもママからよく言われるでしょ。常識が無いじゃなくて、非常識って言うんだよ。」
と笑って訂正していましたが、今は笑えなくなりました。常識がどこまでを指すのか、考え込んでしまうケースも増えたからです。
例えば小学3年生で、戦争を知らない子たちがいます。
小学3年生になるまでは社会科がないので、学校では地域の仕組みや消防などを学ぶだけですが、それでも戦争は知っていてもいい気がします。学校の平和教育の時間についてたずねますと「『ちいちゃんのかげおくり』は知っている。でも、あれが戦争のこととは知らなかった。」と言います。
小学3年生で、漢字が中国伝来だと知らない子どももいます。
また、小学4年生で天体をよく知らない、日食月食などといった言葉を聞いたことがない。小学5年生でアメリカ大統領の名前を知らない、それどころか日本の総理大臣すら知らない。そういう子どもたちにもぼちぼち出会います。
それが非常識なのか、子どもゆえの視野の狭さなのか…。ひとつ言えることは、こういう子の多くはスマホかタブレットを持っていて、自分が興味を持ったことだけをピンポイントで調べることが多いようです。
勉強というのはまずざっと全体像を学んでから、部分的に学ぶ作業です。自分が旅行で行ったハワイは知っているけれど、世界地図は見たことがないから場所は知らないし、北米という言葉も知らない。知らなくても生きてはいけますが、国語の長文を読むときには苦労します。なぜなら国語の文章は基本的な語彙、読解力のほかに、社会の背景を知っていることも非常に重要だからです。
東山魁夷の日本画の話、世界遺産の話題、植物の遺伝の話など、知識を問われる話が普通にたくさん出てきます。背景知識があるとないとでは、読解に大きな差が出ます。そのためにも、家族でニュースを見ながら語り合う、昭和な風景を今一度大切にするというのはいかがでしょうか。
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(朝日小学生新聞2025年2月20日付)

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