「指がいたい」「手がつかれる」――。文字を書くときにこう感じる場合、効率がよい持ち方にかえてみてはどうでしょうか。指先や体の動きにくわしい笹田哲さん(神奈川県立保健福祉大学教授)に練習法を教えてもらいました。(編集委員・沢辺雅俊)※2022年6月24日付の記事を再掲載
親指をじょうずに動かそう 「体操」が効果的
まずは字を書くときに困っていることはないか、自分でチェック=イラストの左上。いずれかにあてはまる場合、よくあるのがえんぴつを持つときの独特のくせで、①先っぽ持ち、②親指でっぱり持ち、③垂直持ち――といった具合です。
笹田さんは「共通するのは指、とくに親指をじょうずに動かせていないこと」といいます。たとえば「親指でっぱり持ち」は人さし指を親指でしめつけるため、指先を細やかに動かせずに手首やうでを動かすので、つかれやすくなります。
笹田さんが考案したのが「えんぴつ体操」。5回ずつ実行してみましょう。指がなめらかに動くようにしてから「効率のいい持ち方」=イラストの右下=にして書くと、だんだん慣れてきます。「1~3か月ほどで効果がみられる」と笹田さん。宿題で字を書いているとき、手や指がつかれてきたら1分間ほど「えんぴつ体操」をして、しばらくこの持ち方で書くのがおすすめです。

みなさんのなかには、これまでに「正しい持ち方」を指導されたことがあるという人がいるかもしれません。でも、なかなかかえられないのが実情ではないでしょうか。そこで、自分の持ち方を確認し、困っていることがあれば「(それを解消できる)効率のいい持ち方にしたらどう?」と体操を取り入れ、うながすようにしたわけです。
保護者のみなさんがかかわる場合は「このページだけ書けばいいよ」などと終わりを決めたうえで、「かっこいい字になったね」などと小さな変化を気づかせてあげるのがポイント。こうすることで、やる気がつづきます。
笹田さんは「受験や就職活動など手書きを用いる大事な機会はこれからもある。長い目でみて、身につけてほしい」と話しています。
笹田哲さん
神奈川県立保健福祉大学教授。作業療法士として長年、小中学校を訪問し、発達が気になる子どもの支援に取り組む。著書に『気になる子どものできた!が増える 書字指導アラカルト』など。
(朝日小学生新聞2022年6月24日付)

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