余白にメモやコメント ルール決めて色分け

「ノートは、先生が黒板に書いた通りに写すもの」と考えている人もいるでしょう。しかし、州崎さんは「丸写しではなく、自分が『参加』するノートを作りましょう」といいます。

州崎さんが多くの子どもたちのノートを見て感じるのは「写すけれど、自分の言葉で書かない子が多いこと」です。「ノートは、教わったことを頭の中に入れる前の『仮置き場』。思いついたことをメモするなど、自分で考えて工夫することで理解が深まります」

そのために必要なポイントがいくつかあります。まず、ノートに余白を作ることです。見やすくするのに加え、気づいたことを書きこんだり、先生のコメントをメモしたりできます。難しいと感じたところに「ここ、わからない」と一言書いておくのもよいでしょう。

イラスト・ふじわらのりこ

次に、色ペンや蛍光ペンを使ってメリハリをつけること。「先生が黒板に書いたことは鉛筆で、大事だと思ったことは赤色で書こう、などと自分でルールを決めることが大切です」。あまりカラフルだとわかりづらいので、色ペンは3色くらいまでにします。

算数では、図形をかく場面もあります。学校の授業では、じょうぎやコンパスの使い方を習いますが、慣れてきたら、手だけでかくのをおすすめします。「いつもじょうぎを使っていると、大きさや長さ、角度などの図形の感覚が身につきません。手だけで図形をある程度正確にかけるようになると、『正三角形の角度はたしかに60度に見えるな』などと思えてきます」

授業の最後には、今日学んだことを1、2行でまとめましょう。「何がわからなかったのか、何に一番おどろいたのかなど、内容は何でもかまいません。一度内容を整理すると、記憶に定着しやすいです」

1、2年生のうちは、ここまでできない子もいるでしょう。州崎さんは「文字が大きすぎたり小さすぎたりしていないか、全体の見やすさに気をつけてみましょう」とアドバイスします。

文字はていねいに書いた方がよいといわれますが、州崎さんは「そこまで気にしなくていい」と話します。「大切なのは、自分で読んでわかること。どれだけ理解し、わからないのは何かを考える方が大事です」

効果的なノートの取り方を心がけると、さまざまな力がつきそうです。「写すことに一生懸命な状態から一歩進み、自分が『参加』するノートを作れるようになると、理解力や集中力、大事な情報を自分で選びとる力などがつきます。成績もきっと上がりますよ」

州崎真弘さん

浜学園の元算数講師。現在、中学受験や高校受験の講師などを務める。著書に『ノートのとり方1つで子どもの学力はどんどん伸びる!』(青春出版社)など。

(朝日小学生新聞2020年4月3日付)