【数学編】☆From 灘

みなさんは「思考力」という言葉を聞いたことがありますか? 思考力とは、これからの社会でとても大切になる力です。たとえば、自分で問題を見つけたり、どうすれば解決できるかを考えたりする力のことです。

この思考力をぐんぐん伸ばすためには、何をすればよいのでしょうか? それにはまず「計算力」が必要なのです。

最近、「考える力が大事!」といわれるあまり、学校の授業や受験塾では計算のトレーニングをあまりしないことがあります。パズルのような問題を楽しむのもよいですが、それが解けるようになるには「思考力」が必要で、そのためには実は「計算力」がとっても大切なのです。

イラスト・きつまき

例えば上のイラストにある、変わったひっ算を考えてみてください。これはどのように計算していると思いますか?

少し考えてみてください。考えている最中、きっと頭の中ではたくさんの計算をして「ああでもない、こうでもない」と考えていたことでしょう。

これを「試行錯誤」と呼ぶならば、実は「思考力」の正体は「たくさんの試行錯誤をすること」なのです。

正確に、はやく計算できる力がつくと、頭の中でいろいろな考えを自由に動かせるようになります。「試行錯誤」をたくさんすることで、ひらめきも生まれやすくなります。

「計算なんてめんどうだな」と思う日があっても、将来役立つ力を身につけるためと思って、トレーニングをコツコツ続けてください。それこそが皆さんが大人になってから求められる「思考力」を鍛える土台になるのです。

灘中学・高校(兵庫県神戸市)
数学科教諭 八田陽児

(朝日小学生新聞2025年5月23日付)