

【数学編】☆From 灘
空中のボールの重さは?
体重40キロの人が重さ1キロのボール(球)を2個持って体重計にのると42キロと表示されます。あたりまえですね。
その人がボールを両手で1個ずつ持ち、交互にボールを空中に投げるという動作をしているとしましょう(ジャグリングのように)。片方のボールはつねに空中にあります。
さて、その動作をしながら体重計にのると表示はいくらになるでしょうか。
手にふれているボールは1個だけなので、伝わるボールの重さは1個分だけです。すると体重計の表示は41キロなのかな。
うーん。なんか変ですよね。
体重計の上に合計42キロのものがあるというのに、表示は41キロ? いやいや、表示は42キロになってほしいですよね。
でも空中にあるものの重さが体重計に伝わるというのも不思議な話です。
手にふれているほうのボールの動きに注目しましょう。落ちてきたボールは手でキャッチされ、少ししずんだあと、上向きの速度で手をはなれます。
この動きをするためには手はその1個のボールに対して上向きに2キロの力を加えなければならないのです。もともとの重さ(1キロ)を支えるための力が1キロ。速度を上向きに変えるための力が1キロ。合わせて2キロです。その力が片手にかかるので体重計の表示は42キロになります。
空中にあるボールの重さが手に伝わるのではなく、手にふれているボールが2キロの力を要求するというわけです。
え? 1キロのボールでジャグリングは無理だろうって? その人はすごい力持ちだったということにしておきましょう。

灘中学・高校
理科教諭 浜口隆之
(朝日小学生新聞2025年7月4日付)

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