中学受験にチャレンジするみなさんは、これからの時期、文化祭や説明会などに行く機会も多くなるでしょう。私立の学校などには、男女がいっしょに学ぶ「共学校」、男子のみ女子のみの「男女別学校」があります。近年、ジェンダー(社会の中での性別のちがい)についての考え方の変化や、少子化の影響を受けて、別学校の共学化の動きがあります。(編集委員・清田哲)
少子化などで共学化の動き/校風は学校によって異なる
蒲田女子高校(東京)は、2024年度に共学化して校名を羽田国際高校と変えました。来年4月に共学の羽田国際中学を開校します。東京女子学院中学・高校(東京)は、25年度に校名を英明フロンティア中学・高校と変えて高校を共学化。26年度には中学も共学になります。
関西でも同じような動きがあります。神戸山手女子中学・高校(兵庫)は校名を神戸山手グローバル中学・高校と変え、一部のコースを共学化。今年4月から新たなスタートを切りました。
受験情報を提供する「首都圏模試センター」の北一成さんは「一口に共学、男女別学といっても、学校によって校風は大きく変わります。実際に学校に足を運んで、雰囲気を感じたり、先生や生徒に話を聞いたりして、自分に合う学校を考え、家族とも話し合ってください」とアドバイスします。

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別学と共学 それぞれ良さがある
女子中高出身のまんが家・コラムニスト 辛酸なめ子さんに聞く
中高6年間を女子校で過ごし、女子校に関する本も書いた、まんが家・コラムニストの辛酸なめ子さん。男女別学で良かったこと、別学だったからこそ感じる共学の良さについて聞きました。(関田友衣)

別学 個性をのばしやすいところ
辛酸さんは東京都内にある私立の女子校、女子学院中学・高校の出身です。6年間を過ごした女子校は「楽園」だったとふり返ります。
「バンドをやってみたり、ラップを作ってみたり。10代の多感な時期、異性の目があったら、はずかしくてできなかったと思うようなことが、女子校だからできました。大学受験のストレスを解消するため、同級生と丸めた新聞紙を持ち、屋上でなぐり合ったことも楽しい思い出です」
生徒会や文化祭、体育祭などで、共学だったら女子はサブに回されたかもしれない立場も、女子がにないます。
「そういう面で、生きる力みたいなものは、やしなわれた気がします。社会に出た後も向上心の強い人が多い印象。校風による影響もあるでしょうが、ボランティア活動や勉強を続ける人も多いのでは」

共学 性別問わず関係を築きやすい
一方で、男子との恋愛に興味がわく年頃だったため、共学の友だちから「修学旅行のとき、男子が部屋に遊びにきて楽しかった」という話を聞くと、「取り残されたようなあせりを感じました」。
男性とあまり接していなかったため、「男性は女性を見た目で判断している」などと、かたよった見方をして自然にふるまえないこともあるそうです。社会に出たとき、共学出身者のほうが、性別問わず親交を深めやすい面はあるかもしれないといいます。
しかし別学と共学、どちらが良い・悪いはありません。
「別学は個性をのばしやすい。共学は男女問わず人間関係を築きやすい。それぞれに良さがあると思います」
辛酸なめ子(しんさん・なめこ)
漫画家・コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。著書に『女子校礼賛』(中央公論新社)『女子校育ち』(筑摩書房)など。
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(朝日小学生新聞2025年8月30日付)