横隔膜と声帯が同時に縮んで起きる
しゃっくりについて教えてくれたのは、友愛記念病院(茨城県)でしゃっくり外来を担当する医師、近藤司さんです。
しゃっくりをまねしたことはありますか。息を吸いながら声を出すと、しゃっくりに似た音が出ますね。
人間は息を吸う時、おなかの中の横隔膜という膜を縮ませることで、肺をふくらませています。一方、声を出すには、のどにある声帯という2枚の膜を閉じます。この二つが同時に起きるとしゃっくりのような音になります。しゃっくりは、この横隔膜と声帯が同時に縮むことで起きます。

しゃっくりは、食べ過ぎた時や炭酸飲料を飲んだ時などに出やすいです。自分の意思とは関係なく起きるのは、あくびやくしゃみなどと同じ反射だからです。頭の中にある「しゃっくり中枢」という部分に刺激が伝わると起きます。
朝小プラスライフ
進化の名残が有力説
どうして出るかはいろいろ考えられていますが、有力な説は生き物の進化の名残ではないかという説です。
生き物は昔、水中から陸上へと生活の場所を広げました。今もカエルはオタマジャクシの時は水の中でえら呼吸していますが、カエルになると私たちと同じ肺呼吸になります。陸に上がる前に肺は働き始めますが、水の中で肺呼吸をするとおぼれてしまいます。そこで気管を声帯でふさいだまま息を吸いこむことで、肺に水が入らないようにします。
この動きはしゃっくりと似ているそうです。私たちのしゃっくりもこうした名残なのではと考えられているのです。
たいていは自然に治まるよ
しゃっくりを止めるにはどうしたらいいのでしょうか。一般的には、息を止める、コップの反対側から水を飲むなどの方法が知られています。しかし、それでも止まらないことはよくあります。
近藤さんはしゃっくりに苦しむ患者さんを20年以上にわたり診察してきました。これまでに診た患者さんは約850人に上ります。治療には、しゃっくり中枢をコントロールする薬を使います。
続くようなら受診を
患者さんの中には、何年もしゃっくりが出続けて苦しんでいる人もいます。近藤さんが診た患者さんで最も長く出続けた人はなんと、35年間。しかし、ギネス世界記録では最長はアメリカ人男性の68年間にもおよぶそうです。
近藤さんによると、しゃっくりはたいてい数分で自然に治まるので、放っておいて大丈夫です。しかし、2日以上続くと何か病気がかくれているかもしれないので、病院を受診してほしいといいます。
(朝日小学生新聞2021年12月21日付)
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