歴史作家の河合敦さんが、昔の日本の様子をわかりやすく教えてくれるよ。今回は奈良の都、平城京についてのこぼれ話を紹介。

※答えは、この記事の最後に
平城京には何人ぐらいの人々が暮らしていたのでしょうか。
有力なのは10万人という説です。当時の日本で最大の都市ですが、それにしては少ない気もしますね。
平城宮の役所で働く貴族や役人、雑用や警備を担当する人を合わせると、およそ1万人に上るとされています。彼らは毎日、平城宮に通って来ますが、都のはずれに住む下級役人などは、通うのに1時間以上かかりました。
朝小プラスまなび
日の出直前には平城宮に時刻を知らせる太鼓が鳴りひびき、入り口の朱雀門が開きます。すると、仕事に向かう役人たちが門にどっと押し寄せます。今でいう通勤ラッシュですね。
朝堂院は多くの役所が立ち並ぶ、今のオフィス街にあたるところで、その門が開くのは朝の6時半だったといいます。
遅刻すると、中へ入れてもらえなかったともいわれています。遅刻をチェックする係の人もいて、あまり多いと仕事の評価にもひびいたようです。
役人の働く時間はとても短く、正午には帰っていいことになっていました。だから1日の労働時間は5時間ぐらいです。
下級役人の収入は少なかったため、東大寺などのお寺でお経を写すアルバイトや、実家からの仕送りで家計をやりくりした人も少なくなかったようです。
クイズの答え イ
かわい・あつし
歴史作家。都立中高一貫校や私立中高の教諭を経て、多摩大学客員教授。多くの日本の歴史の本を書くかたわら、テレビ出演や講演活動もおこなう。
(朝日小学生新聞2014年6月5日付)

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