
このコラムは、子どもの「自己肯定感」を育てたいと思っているご家庭へお届けします。
自分で考え、解決するスキルを身につける
ビジネスなどでも用いられるブレーンストーミング(頭の中の嵐)といわれる思考法「ウェブ法」の一つです。米国の小学校では、授業の中で取り入れられていて、思考の整理にとても役にたつスキルと思いました。日本に帰国して「クモのすウェブ」と名付けてワークに取り入れています。
クモのすウェブのやり方は、まず「テーマ」を中央に書いて、そこから自由に思いつく限りことばや文章を書き出していきます(拡散)。紙いっぱいになったら、俯瞰(ふかん)して全体を見て、問題の解決の糸口を見つけていきます(収束)。
私たちの頭の中や心には、見えないけれど大小さまざまな考えや感情の「破片」が散らばっています。その破片を一枚の紙に書き出すことで、頭の中にあることや心の中が見えてきて、気づきが生まれます。知っておくととても便利なスキルなので、ぜひやってみてください。
わが家の子どもたちも、学校の授業で使い慣れていたので、悩んでいて解決方法を見つけたいときに、自分の頭の中の整理法としてごく自然にやっていました。大人になってもときどき書き出してみるとのことでした。
自分で考え解決するスキルを身につけおくと、大人になってからも大いに役立ちます。はじめは、お子さんと一緒にやってみましょう。子どもが自分でできるようになったら、口をはさまずにそっと見守っていてあげてくださいね。
【お子さま向けはこちら】
イライラ、モヤモヤしてるときスッキリする方法
なんだかよくわからないんだけど、モヤモヤしている、イライラしてるなぁと思うとき、ある? 心の中にはいろんな感情がつめこまれている。だから、ひと言で表すそうとするところに、ムリがあるんだよ。
「自分のモヤモヤ」=「散らかった心の中」を整理してみると、気がつかなかった自分の気持ちが見えてくるんだ。
自分の気持ちを整理するのに、「クモのすウェブ」っていう方法があるよ。「クモのすウェブ」を書いてみると、心の中や頭の中が丸見えになる。キャー恥ずかしい、と思うんだったらだれもいないところで、こっそり書いてみるといい。「自分って、こんなことを思っていたんだ」とか「じゃ、こうした方がいいかな」と気がつくことがあるから、説明にしたがってやってみてね。
イライラ、モヤモヤしている原因に気づいたり、次に何をしたらいいのかわかったりして、「じゃ、こうしよう!」ってアイデアもわいてくるかもよ。自分の心の整理をしてスッキリすると、パワーが出てくる。キミはさらにバージョンアップするよ!
自分の心の中の気持ちを紙に書き出してみよう
- 大きめの紙を用意して、紙の真ん中に考えたい「テーマ」を書く。
- 頭の中にポッと浮かんだことを、短いことばでも文章でもいいので、吹き出しのように紙に書いていく。
- 書いたことばから、また次に浮かんだことばを線でつないで、どんどん書き足していく。そう思った理由や、できごとを思い出して書けるともっといい。
- 出しきったら書き出した紙を見て、自分の気持ちをまとめてみよう。

ワークシートはこちらからダウンロードできます→https://p.potaufeu.asahi.com/asagaku/pdf/lesson/worksheet10.pdf
高取しづか
ことばキャンプ主宰。アメリカで生活した折、日本と欧米のコミュニケーションスキルの差に危機感を覚え、研究活動を行う。帰国後NPO法人JAMネットワークを結成。「ことば力」と自己肯定感を育てることばキャンプを推進し、全国で1万人以上に講演・研修活動を行う。著書多数。
高取しづかのブログ https://ameblo.jp/t-shizuka
ことばキャンプ http://kotobacamp.com/
(LINE NEWS「朝日こども新聞」2023年5月31日配信)

「朝小プラス」は朝日小学生新聞のデジタル版です。ふりがな付きでスラスラ読める!お子さまの好奇心を刺激する記事がいっぱい。親子のコミュニケーションにもおすすめです。