
今年の春から、オレンジジュースが続々と販売できなくなっています。オレンジの産地の天候が悪くて不作に。ジュースになる果汁が世界でとり合いになって足りません。国内のみかん栽培にも、地球温暖化で気候が変わる影響が表れています。(松村大行)
産地の災害や病気が原因
キリンビバレッジ(本社は東京都)の「トロピカーナ」のオレンジジュース(900ミリリットル)が6月から、販売を休んでいます。再び売り出しても3割以上値上げする予定。原料のオレンジ果汁が手に入りづらくなったからです。
トモヱ乳業(本社は茨城県)は、1リットルパックのオレンジジュースを1日5万本ほどつくっていましたが、今は3万本に。「果実工房 オレンジ100%」の販売を4月からやめていて、再び売り出すめどがたちません。専務の小川澄男さんは「この仕事を50年近く続けてきて、こんなに足りなくなったのは初めてです」。

オレンジはブラジルとアメリカ(米国)が、世界の輸出量の多くをしめます。ジュース用には主に産地で果汁をしぼり、水分をとばし、6倍ほどに濃縮して輸出。タンカーなどで日本にとどくと、水などを足して商品にします。
その一大産地の米フロリダ州が去年、大型のハリケーンにおそわれ、オレンジの木がたくさんだめになりました。さらにブラジルでも大雨やオレンジの病気で収穫量が減っています。オレンジジュースは世界各地で飲まれるため、「果汁争奪戦」が起きています。
少ないものを多くの人がほしがると値段が上がります。そこに追い打ちをかけたのが、去年から続く円安です。輸入するのにさらにお金がかかるため、簡単には買えなくなっています。
オレンジジュースは、ほかの果実のジュースと比べると安く作れていたそうです。ただこうなると値上げがさけられません。小川さんはこのニュースを通じて、「食料自給率の低い日本では食べ物がない、飲み物がないということが起こりうる」ことを知ってほしいといいます。
朝小プラスまなび

地球温暖化で うき皮・日焼け 起きやすく
オレンジは、日本で栽培される温州みかんと同じ「かんきつ類」。日本でも気候の変化が影響をおよぼし始めています。
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