この記事は、2003年10月11日付の朝日小学生新聞に掲載されました。記事の内容は、新聞に掲載したときのものです。

衆議院が10日に解散したよ。

それって、なんのこと?

小村田記者

衆議院の議員さんたちがいっせいにやめたんだ。新しくえらぶ選挙が11月9日に行われる予定だ。

選挙に参加できるのって大人だけでしょ。なんだかむずかしそうだし、知らなくてもいいや。

小村田記者

ダメダメ。解散や総選挙は、みんなのくらしにかかわる大切な話を決めている国会にかんすること。大事なキーワードだから、ちゃんとおぼえておいた方がいいよ。

じゃあ、ちゃんと説明してよ。

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朝小プラスまなび

衆院議員が全員やめ、新しく選び直す

国会には衆議院と参議院があるんだよね。

――よく知っているね。衆院議員は任期が4年で、参院議員は6年なんだ。ただ、衆院議員は任期のとちゅうでも、内閣総理大臣(首相)によって、いっせいにやめさせられることがある。そのことを「解散」っていうんだ。そして、衆議院が解散されると、40日以内に選挙がある。新しい衆院議員をえらぶこの選挙のことを「総選挙」っていうんだよ。

ただの「選挙」じゃなくて、わざわざ「総選挙」というのはなんで?

――衆院議員は480人いるんだけど、全員をいっぺんにえらび直すから「総選挙」といっている。参議院は3年ごとに選挙があって、半数ずつ交代するから総選挙とはいわないんだ。

ふーん。衆議院って、どんなときに解散するの?

――ふたつのパターンがある。ひとつは国会と内閣の意見が対立して、衆議院が「この内閣は信用できません」と決議したときだ。首相は自分からやめてもいいけど、そうでなければ、衆議院を解散して、自分が正しいか、衆院議員が正しいか、選挙を通じて国民にえらんでもらう。このケースはあまり多くはないんだけどね。

もうひとつのパターンは?

――首相は政治の大事な場面になると、衆議院を解散することができる。「解散権」っていうんだ。首相の「最終兵器」みたいなものだね。

じっさいは、自分をささえてくれる政党の仲間をふやすことができそうなときに、解散にふみ切ることが多いみたいだけどね。総選挙が終わってから30日以内に「特別国会」を開いて、新しい首相を決める。負ければ、ぎゃくに首相をやめなければいけなくなるから、一種のカケなんだ。

小泉さんはなんでいま、総選挙をするの?

――衆院議員の任期は来年6月まであるんだけど、自民党総裁に再選されて、いきおいに乗って選挙をするのが得だと思ったんだろうね。国民の支持率も高いし、「いまなら勝てるかも」と考えているんじゃないかな。この選挙に勝てば、小泉さんはもっと長く首相をつづけられるだろうからね。

仲間をふやしてパワーアップするってわけね。

――さあ、それは投票箱を開けてみないとわからない。小泉さんの自民党と対決する最大の相手のは、自由党と合併した民主党だ。菅直人代表と、自由党の党首だった小沢一郎さんを「二枚看板」にしているから、なかなか手ごわいかもね。

小泉さんも若手で国民に人気のある安倍晋三さんを党の重要な役職にして、自分との二枚看板で乗り切ろうとしているんだ。

「看板」だけなの?

――看板だけでえらんじゃダメだよね。民主党は「マニフェスト」というものをまとめて、改革していく姿勢を打ち出している。「政権をとったら、いつまでに、どんなことを、どうやって実現させます」という国民との約束だ。小泉さんも「これまで通り、改革を進める」といっている。

大切なのは、この日本をどうしていくか、政策の中身だ。どの政党の、どの候補者がわたしたちのくらしをよくしてくれるのか、よく考えないといけない。まだみんなに投票する権利はないけど、パパやママの入れる一票が、これからの日本の政治の流れを決めるから注目しよう。

小村田 義之記者(朝日新聞政治部)

(朝日小学生新聞2003年10月11日付)