8日午後4時42分ごろ、宮崎県沖の日向灘を震源とする地震が起き、宮崎県日南市で最大震度6弱を観測しました。この地震で、気象庁は初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表。今後1週間は巨大地震に注意するよう、呼びかけました。どんな備えが必要でしょうか。

発生の確率「数百回に1回」に高まる

今回の地震では宮崎県で強いゆれが観測され、愛媛県や高知県、大分県などに津波注意報が発表されました。宮崎県と鹿児島県などで14人がけがをしました(9日午前時点)。

港の近くで起きたがけくずれ=8日、鹿児島県志布志市 Ⓒ朝日新聞社

震源となった日向灘は、東海から九州の太平洋沖の広い範囲で警戒される南海トラフ地震で震源となるおそれのある地域の西のはしです。地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・1。専門家でつくる評価検討会で話し合った結果、「巨大地震注意」が発表されました。こうした情報を出す制度は2019年に始まりましたが、発表されたのは初めて。

南海トラフ地震は今後30年以内に70~80%の確率で起きるとされています。検討会の会長の平田直さんは記者会見で「今回の地震で発生の可能性が数倍高まり、『数百回に1回』の確率になった」と話しました。

「巨大地震注意」は臨時情報の3段階のうち、事前の避難を求める「巨大地震警戒」に次ぐもの。対象は沖縄県から茨城県までの29都府県に広がります。

JR東海は8日、東海道新幹線の三島―三河安城駅間で、最高速度を時速285キロから230キロに落として運転すると発表しました。減速する運転は1週間ほど続ける予定です。

津波発生時の避難経路の確認を

「巨大地震注意」で求められるのは、日頃の備えを確かめること。ただし、ゆれを感じたり、緊急地震速報が伝えられたりしたときは、身の安全を最優先にして行動することが大切です。

じょうぶなテーブルの下や、ものが「落ちてこない」「たおれてこない」「移動してこない」空間に身を寄せて、ゆれがおさまるまで様子をみましょう。

気象庁は、地震が起きたら政府や特に自治体からの指示に従ってほしいといいます。さらに「津波の発生に備えて、どこににげるか、避難経路がどこかということを改めて確認して」と呼びかけています。

イラスト・すぎうらあきら

【南海トラフ】

 静岡県の駿河湾から九州の東方沖まで、約700キロにわたって海底にある水深4千メートル級の帯状の溝のこと。日本列島がのっている大陸プレートと、海洋プレートがぶつかる場所にあたります。

 日本列島の下に海洋プレートがしずみこむと、ひずみが生まれます。たまったひずみを約100~200年ごとに解き放つとき、大地震が起きると考えられています。

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防災用品、家で外出先で何をどう備える 南海トラフ地震に「注意」の臨時情報

朝小プラスまなび

(朝日小学生新聞2024年8月10日付)