AI向け半導体で世界の7割しめる注目の会社

Q どんな会社なの?

A 生成AIブーム追い風に急成長

■解説者 崔真淑(エコノミスト・「グッドニュース アンド カンパニーズ」代表取締役)

ニュースで半導体の話題が出ることが増えました。半導体とは電気を通す金属などの「導体」と、電気を通さないゴムなどの「絶縁体」の中間の性質を持つ物のこと。シリコンなどですが、このような物を材料に使うトランジスタなどの部品も半導体と呼びます。

子どもに聞かれて説明できる?「半導体」

朝小プラスまなび

パソコンなど電子機器の「頭脳」として働きます。今はあらゆる場所でデジタル化が進んでいますが、特に投資が増えているのが人工知能(AI)の分野です。AIは高い計算能力が必要で、質の高い半導体が求められます。

そうしたAI向けの半導体で、世界の7割以上をしめるといわれるのがエヌビディアです。

小学生でも「チャットGPT」などの生成AIにふれたことがある人がいるでしょう。文字を入力したら自動で回答したり、画像を作れたりします。さまざまなAIの中でも特に世界で人気が高まっていますが、その分野でエヌビディアは高い技術をほこります。「エヌビディアなくして、生成AIへの投資は進まない」といわれるほどです。

2024年2~4月期の売り上げは前の年と比べて3.5倍以上で、最終的なもうけは7倍を超えました。驚くべき成長スピードです。会社の将来に期待して投資をする株式市場での評価も高いです。1株あたりの株価に株式の数をかけた時価総額は、20年1月と比べて20倍以上に。そして6月、マイクロソフトをぬいて世界1位におどり出ました(その後順位が下がり、7月末時点で世界3位)。

Q 成長はこれからも続く?

A 国どうしの関係で悪影響も

■解説者 崔真淑(エコノミスト・「グッドニュース アンド カンパニーズ」代表取締役)

グーグルを運営するアルファベット、アマゾン、マイクロソフト、チャットGPTを開発したオープンAI。こうした世界の巨大テクノロジー会社が、生成AIへの投資を一気に増やそうとしています。それはエヌビディアにとっても追い風です。

ただ今後、時代の流れでこうした会社の人気が下がり、売り上げが減るようなことになれば、エヌビディアにも悪い影響が出るかもしれません。

さらに重要なのは、エヌビディアは半導体を開発・設計する会社であって、自分たちで製造はしないということです。世界のさまざまな国の会社に製造をお願いしていて、その多くを台湾の会社「TSMC」が引き受けています。そして部品の中には、中国の会社にたよる物が数多くあります。

いま中国と台湾の関係が悪くなっていて、米国と中国の関係にも危うさがあります。もしこの先、米国、中国、台湾の外交関係がさらに悪くなると、エヌビディアの半導体を作ることも難しくなるかもしれません。

最近のNEWS

時価総額 かつては日本の会社が上位に

今はエヌビディアなど米国の大手デジタル会社が、世界の株式市場で時価総額の上位を独占しています。ただ少しさかのぼると、時価総額ランキングの上位に日本の会社がたくさん入っていた時代もあったのです。1980~90年代のことで、銀行や不動産の仕事が世界でも主要な産業となっていました。そのため、日本の大手都市銀行や不動産会社が急速に成長していました。

その後、時代が移り変わるとともに、重要な産業はデジタルやテクノロジーになりました。こうして時代は変化し続けていくということを、今後も忘れないでおきたいものです。

■解説者 崔真淑 エコノミスト 「グッドニュース アンド カンパニーズ」代表取締役

(朝日小学生新聞2024年8月2日付)