読者2人が、オンラインではやみねかおるさんにインタビューしました=10月5日 ※画像の一部を加工しています

 「名探偵夢水清志郎」や「都会のトム&ソーヤ」シリーズなどで知られる人気作家のはやみねかおるさん。朝日小学生新聞はこの夏、はやみねさんの作品を紹介する作文コンクールを開きました。はやみねさんによる最終審査で優秀者に選ばれた中原梨央さん(東京都・5年)と尾谷知咲さん(兵庫県・2年)の作品と、はやみねさんのコメントを紹介します。

作文コンクール優秀者の朝小読者がインタビュー

6年生で初めてお話を書いた

尾谷さん 初めてお話を書いたのは何歳のときですか。

はやみねさん 小学6年のときでした。花火大会に悪者が来て、子どもたちがつかまえるお話です。

尾谷さん なぜ小説家になろうと思ったのですか。

はやみねさん 家や図書館の本を読んじゃって、読む本がなくなったので、自分で書き始めました。書くのがおもしろかったもんで、ずっと小説を書いて暮らせたらええなと思っていたら、60歳になった今も、こんなことをしています。

中原さん すてきな登場人物を生み出すために、工夫していることはありますか。

はやみねさん 周りの人の行動をよく見て、その人がどんな人か考えること。ぼくの頭の中は、アパートみたいに部屋がいっぱいあって、いろんなタイプの人が住んでいるような感じです。お話を書くとき、こんなキャラクターがほしいなと思ったら、そこから登場してもらいます。

尾谷さん 今まで書いた中で、一番好きなキャラクターは?

はやみねさん 「夢水清志郎」シリーズの上越警部です。主人公の夢水清志郎は名探偵で、すごい推理力を持っている。一方、上越警部は警察官として苦労したり考えたり、いろんな経験を積んだ人。がんばったことが身になっている人はかっこいいなと思うので、大好きです。

中原さん 作品から「周りも自分も笑顔になるためには、真実をとらえる力をつけることが大切だ」というメッセージを感じます。自分らしい作品を作るために、どうしていますか。

はやみねさん ぼく、そんなかっこいいメッセージを書いていたんやなって、すごくうれしくなりました(笑い)。ありがとう。ぼくは昔、小学校の先生でした。その体験が、すごく大事になっています。

先生をしていて、子どもたちに伝えたいと思うことが、たくさん出てきました。とくに「人生は楽しいよ!」ということ。今も、それを知ってほしいと思いながら本を書いています。

読書で世の中がよりおもしろく

中原さん 私は自分でお話を書いてみたら、どこかで読んだことのあるような内容になってしまいました。

はやみねさん だれでもそうなんですよ。たくさん書くのが大事。そのうち、自分しか書けへんのちゃうか、っていうようなお話ができます。中原さんもぜひたくさん書いてください。

編集部からの質問 子どものころはどんな本を読んでいましたか。

はやみねさん 日本や外国のミステリーをたくさん読みました。不思議ななぞが出てきて、それがきちんと論理で解決されるのが、最高に好きなんです。

編集部 読書の魅力は?

はやみねさん 読書からは知識や知恵が得られる。いろんなことが楽しめて、世の中がよりおもしろくなるところが魅力だと思います。

代表作 「夢水清志郎」シリーズは30周年

講談社青い鳥文庫

はやみねさんの代表作の一つ「名探偵夢水清志郎事件ノート」シリーズは、今年で30周年をむかえます。はやみねさんが20歳のころ、夢の中に名探偵の夢水清志郎が出てきたことで生まれたお話です。「読者の方が楽しんで読んでくれて、30年も覚えてくれている方もいることに感謝しかないです。夢水もぼくも幸せもんです」とはやみねさん。

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はやみねさんおすすめの本

『はじめてであうすうがくの絵本1』

作 安野光雅、福音館書店

たくさんの絵の中から一つだけちがう絵を見つけるなど、数学の発見の楽しさに満ちた絵本。「算数や数学は決して計算だけのもんじゃないっていうのがわかる本です。答えが一つしか出せんものではなくて、考えることがおもしろいし大切だよと教えてくれます」

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『山のむこうは青い海だった』

作 今江祥智、絵 長新太、理論社、品切れのため図書館で

「ピンクちゃん」とあだ名をつけられた気の弱い少年が、尊敬する歴史上の人物・高杉晋作をまねて、一人旅に出かける物語。「ぼくが初めて読んだ文庫本で、思い入れのある一冊です。戦後間もない時代が舞台やけど、この本に書いてある大事なことは子どもらに伝えたいし、残していかなあかんと思います」

はやみね・かおる

 1964年、三重県生まれ。小学校の先生として14年間勤務していた。89年に『怪盗道化師』で作家デビュー。他の作品に「怪盗クイーン」シリーズ、「虹北恭介」シリーズ(どちらも講談社)などがある。

取材を終えて

中原梨央さん
 はやみねさんは、「いつも一生懸命過ごしているので、今が一番最高」と話していました。手品で周りを笑わせたり、毎日走ったりしているそうです。私も人生を思い切り楽しむことで、周りまでワクワクさせられる人になりたいと思います。

中原さんが作文コンクールで紹介したはやみねさんの本

『ぼくと未来屋の夏』(絵 武本糸会、講談社青い鳥文庫)

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尾谷知咲さん
 インタビューでは緊張してしまいましたが、先生のおうちに本がいっぱいあるのを見せてもらって、びっくりしました! 先生がおすすめしてくれた算数の絵本も読んでみたいなあと思いました。

尾谷さんが作文コンクールで紹介したはやみねさんの本

『4月のおはなし ドキドキ新学期』(絵 田中六大、講談社)

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インタビューの後編や2人が書いた紹介文、はやみねさんの講評はこちらから読めます↓↓↓

はやみねかおるさんの作品紹介コンクール 優秀作を発表

朝小プラスまなび

(朝日小学生新聞2024年10月14日付)