
読者から寄せられた疑問を編集部が調査するコーナーです。今回は小学6年生(東京都)から寄せられた「ほくろはどうしてできる?」という質問に答えます。
小学6年生(東京都)の疑問
最近、顔に新しくほくろができました。ほくろってなんですか? 何をきっかけになるのか知りたいです。そばかすとのちがいも教えてください。
東京大学医学部附属病院皮膚科 尾松淳さん
「ほくろ」はメラノサイトという、黒色のメラニン色素を作る細胞が変化したもの。「そばかす」は日焼けなどと同じく、色素によってできます。
多くは3、4歳から30代までに
皮膚にできる小さな黒いできもの、ほくろ。どのようにしてできるのかを教えてくれたのは、東京大学医学部附属病院皮膚科の尾松淳さんです。
尾松さんによると、ほくろはもともと「ははくろ」と呼ばれていたといいます。はは(母)からもらったくろ(黒)いものという意味だったようです。ははくろから次第にほくろに変わり、室町時代末期にはすでにほくろと呼ばれていたそうです。
ほくろの正体は母斑細胞と呼ばれる細胞です。母斑細胞が1か所にたくさん集まってできたものがほくろです。母斑細胞は黒い色のメラニン色素を作るメラノサイトという細胞が変化したものです。


なぜほくろができるのでしょうか。「紫外線などの影響を受けてメラノサイトが母斑細胞に変化し、ほくろになってあらわれるともいわれていますが、確かなことはわかっていません」と尾松さん。
ほくろは顔や体のどこにでもできます。頭皮や足の裏にできることもあります。生まれた時からある人もいますが、多くの人は3、4歳からでき始め、だんだん増えていくそうです。20~30代をピークにできなくなっていきます。
大きさはだいたい直径6ミリ程度までが一般的です。集まっている細胞の量によって平たいものやふくらんでいるものもあります。年をとると細胞が増えてくるので、大きくなったり、もりあがってきたりすることもあります。生まれつきのほくろのなかにはもっと大きなものもあります。
ほくろの数が多いか少ないかは遺伝子が関係しています。日本人は平均で10個ぐらい。白人はもっと多いそうです。
ほくろのように見えて悪い病気の時もあるといいますが、「そういうケースは本当にまれなので、基本的には心配しなくて大丈夫です」。
そばかすは日焼けと同じしくみ
では、そばかすはどのようにしてできるのでしょうか。
「そばかすは日焼けをした時に肌が黒くなるのと同じしくみでできます」と尾松さん。そばかすやしみは、紫外線を浴びて活性化したメラノサイトがメラニン色素をたくさん作り出すことで発生します。

ただ、そばかすはだれにでもできるわけではありません。遺伝的に紫外線を浴びるとメラニンを作りやすく、そばかすができやすい体質の人がいます。
顔にできることが多いですが、腕や首など紫外線が当たりやすい部分にもできます。平たくて茶色いしみのようなもので、大きさは3ミリ程度まで。スズメの卵の殻のもように似ていることから、「雀卵斑」とも呼ばれます。

尾松さんによると、そばかすの見た目がそばの実を取った後に残るそばのかすに似ていることから、その名が付いたそうです。(浴野朝香)
(朝日小学生新聞2024年10月1日付)