
相談
小6男子の保護者です。子どもは6年生になり、毎日確認テストに向けての勉強に追われています。睡眠不足や疲れがあって、やっつけ仕事で宿題をやっていることもあり、深く理解ができないまま答えだけを覚えてしまい、類題になると解けないことも多いです。宿題後に「この問題はどうしてこの答えになるのか」を確認したくても、子どもは反抗期や日々の疲れもあるせいか、親の声掛けで機嫌を損ねることもあります。しかし確認せずに分からないまま勉強が進んでいくのも怖いです。親はどこまでサポートすればよいのでしょうか?
【浜学園】教えて!松本学園長
このような不安を感じているご家庭は多いと思います。この場合の対処法は、学年によっても違ってきます。
もう少し下の学年は、どんどん新しいことを習っていく時期です。宿題などに追われながらも「なぜこうなったのか」ということを大事にしていかなければなりません。
しかし、6年の夏頃は、全ての単元を習い終わったわけではないので、まだ新しいことを習うこともあれば、入試に向けてこれまで習ってきたことを総合する、ということもあります。つまり、前に進みながら、後ろを振り返るという両輪が必要になるのです。
新しいことを学び、前に進んでいく場合、その解き方などをじっくりと身につけていかないとなりませんが、入試レベル、あるいは入試のような総合問題などは、たくさん解くことを課せられます。なぜなら、入試というのは決められた時間内で解かなければならないからです。ですから、ゆっくり時間をかければ解けるかもしれませんが、制限時間内で解かなければならないときには、そのような問題にずっと取りかかっていたら解き切れませんので、とばさなければならないのです。そこに時間をかけたために、本来見直しさえすれば正解していたような問題で点を落としてしまうということをなくしていかないといけません。
6年生の4月あたりから、特に算数の成績が少し低調になってくるという生徒が出てきます。それはなぜかというと、それまでは、テストの問題を1番から順に解いていけばよかったのですが、6年生で受けるような入試を意識したテストは、問題をとばす勇気をもたないといけないからです。実は、問題をとばすことは、時間がかかったり、苦手だったりする問題や単元というのを理解していないとできません。
これは普段、どの問題もゆっくり解けるまで解いていたら身につきません。ですから6年生の夏は、疲れながらでも、大量の勉強を時間内に収めるようにしていきましょう。「この問題は時間がかかるから、とばそう」など、試行錯誤していくことが大切です。
また、解けなかった問題は、後で質問に行ってみてください。そうすると、その質問の解き方がわかった上で、本当にその問題は、解くべきものだったのか、今の時点では後に回すのが正解だったのかがわかってくると思います。
6年生の夏休みは、「時間内に収める」「どの問題をとばすのか」についても、気をつけるようにするとよいですね。
ご質問者様が悩まれている「確認テスト」ですが、新しいことを学んで身につけなければならない段階であるのに、解き方が中途半端になっているようなら、「クラスを絶対維持しなければならない」と思うより、「時間の中でしっかりとこなせるクラス帯にいるのか」ということに注意を向けてみましょう。
ただし、クラスが下がる場合、その原因となったのはどの科目なのか、どの単元なのかということを見極めることが大事になります。6年生にとっての一番の目標は、クラスの維持ではなく、自分が目指す学校に合格することです。
しっかりと地に足をつけながら、これは自分が立ち向かうべき問題なのか、もしくは後に回すべき問題なのかを見極めていきましょう。
入試のとき、得意な分野や単元を解いているときに終了のチャイムが鳴る、これは最悪です。解ける問題が全部終わった後で、解けない問題を解いているときにチャイムが鳴る、こうでないとやはり入試はいけません。それを見極める力を今多くの問題にあたることで身につけているのです。6年生は夏以降、自分の力を知っていることも実力ですから、それに向かって今大変な思いをしているのです。
6年生は反抗期のお子さんも多いでしょう。なまけていたりすることも自分でわかっていて、そこを突かれると反抗します。子どもは、ある程度自分が行きたいという学校が決まってくると、必要な偏差値などは本人もわかってきます。それにある程度任せていかなければならない部分もあります。保護者の方は、時間の管理、体調の管理などの協力をするとよいのです。勉強の内容を理解させることではなく、子どもが一番苦手なところ、ついつい甘えたくなる時間の管理であったり、自分ではなかなかできない体調の管理であったりというところ、これが保護者の役割となっていくと、一番よいのだと思います。
子どもに任せる部分も多く、難しいとは思いますが、がんばっていただきたいです。
松本 茂

進学教室 浜学園 学園長。浜学園講師歴24年。社会科主席主管を務めたのち、2022年4月に学園長に就任。朝日小学生新聞での連載など子ども向け時事問題提供に取り組んでいる。
浜学園とは
浜学園は1959年創立。灘中合格者数21年連続日本一をはじめ、関西の多くの主要校でも合格者数日本一を達成するなど、関西でトップの実績を上げる進学塾です。本部は兵庫県西宮市。2025年現在、東京・関西・愛知・岡山・沖縄に48教室を開校しています。

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