
累計発行部数7万部突破「たくや式」英語問題集シリーズの著者・藤井拓哉さんが、家族でのアメリカ生活や家庭での英語学習についてつづります。
公の場で英語を話しているとやはり目立つ
日本でバイリンガル教育を行なっていると色々なことを経験する。今回はそんなことをお話ししたい。
アメリカの場合、移民も多いため、英語以外の言語が日常的に飛び交っている。スペイン語が特に強い存在感を放っており、行くお店によっては英語よりも聞こえてくる。また中国人やインド人も多いため、本当にさまざまな言語をいたるところで耳にする。
これが日本となるとどうだろう? 言語の多様性は消え去り、聞こえてくるのは基本的に日本語のみとなる。東京や京都など、外国人がある程度集中する場所であれば英語や中国語などを耳にする機会も多いだろうが、そういった大都市でなければ基本的に耳にする言語は日本語のみとなる。みなさんも同じ印象なのではないだろうか?
さてさて、ここで想像してもらいたい。そんな日本語オンリーの環境(公園、ショッピングモール、子ども向けのイベントなど)で明らかに日本人の顔をした親子が “What are you doing? Don’t touch it.”(何しているの?触っちゃダメ)“Why not?”(何でダメなの?) など英語で会話をしていたらみなさんどう思うだろう?
「え? すごい! 英語で話している!」とポジティブに捉える人もいれば「なんで日本人なのに英語で話しているの? 変なの」とネガティブな印象を持つ人、また「帰国子女なのかなぁ?」「どういう教育をしているんだろう?」といった興味を持つ人など、反応は様々だろう。
え? なぜそんなことがわかるかって? その理由は、そういう話し声が実際に聞こえてくるからだ(泣) そう! 日本人が英語を話していると、とにかく目立つ! そのため、バイリンガル教育を行うのであれば「周りから何を言われても、気にしない」という強い気持ちも必要になってくる。

幼稚園・保育園でもちょっと浮いていたような
そして幼稚園・保育園に入ると他の園児だけでなく、その親御さんからも注目を集めてしまうことも・・・。藤井家の場合、私の仕事の関係で2つの幼稚園、1つの保育園に子どもたちを通わせたのだが、どこにいっても若干変わっている存在となっていた。
幼稚園・保育園に入る頃には息子たちはあまり英語を話さなくなっていたが、私が英語で話しかけ、それを息子たちが理解し行動するという光景は、若干インパクトがあったのだろう。「え、今、指示を英語で出した?」「あの子、今ちゃんと理解した?」という視線を日々感じていた。
そして、他の園児の親御さんとも少しずつ話すようになると自然と「たくや式バイリンガル教育」の話にもなっていった。そして「親御さんの反応は?」というと大体以下の3つのどれかであった。
1. 「ふ〜ん」派
バイリンガル教育にあまり興味がないみたく「ふ〜ん」「そうなのですね」で終わる場合がほとんど。共通の話題があまりないのでちょっと触れてみたといった感じ。
2. 「ちょっと教えて」派
バイリンガル教育に(最低でも少しは)興味を持っており「おうちでは何をしているの?」「オススメの教材は?」「やっぱり幼い時から始めた方がいいの?」など具体的な質問が飛んでくる。
3. 「まずは日本語」派
幼少期に始める英語教育に否定的な考えを持っているため、私とは会話のキャッチボールが上手くいかないことも(泣) たくや式バイリンガル教育の話をすると「え?だけど日本人なんでしょ? それなら、日本語をちゃんと学ぶほうが大事じゃない?」の一撃。悪気はないのだろうが、空気が凍ることもちょいちょいあった。
いろいろな親御さんと話す中で私が特に感じたのは「バイリンガル教育とは子どもに英語に教えることだけではない」ということ。バイリンガル教育をしていなかったら浴びる必要のなかった「変な注目」、受ける必要のなかった「批判」も多かった。しかし、おかげさまでメンタルが鍛えられもした! 「バイリンガル教育には、親の鋼メンタル養成プログラムも含まれている」というのは、当時予想もしていなかっただけに、とても良い経験になった。

バイリンガル教育には親の強いメンタルも必要
このようにバイリンガル教育を行うと周りから浮いた存在・批判の対象になることがある。そのため、親は鋼のメンタル・・・とまではいかなくても、自分の教育に自信を持ち「周りが何を言っても気にしない」と思える、ある程度強いメンタルが必要となる。ちなみに私の場合は、バイリンガル教育を通じてメンタルが鍛えられたパターンだ。子どものためを思って始めたバイリンガル教育が、実は自分をも成長させてくれていた・・・アメリカで息子たちが元気に生活できていることも含めて、バイリンガル教育をしておいて本当に良かったとつくづく感じる。
藤井拓哉(ふじい・たくや)

1984年生まれ。父親の都合で3歳~6歳までと、15歳~24歳までをアメリカのオハイオ州で過ごす。オハイオ州立大学、同大学院で教育学を学び、日本語の教員免許とTESOL(英語を母国語としない方のための英語教授法)を取得。帰国後は、宇都宮大学で英語講師を務める。数学、化学、生物学、物理学を英語で学ぶ「理数系英語」の講義を定期的に行い、2010年と2013年に学生による「授業評価アンケート」をもとに選ぶ「ベストレクチャー賞」を受賞。その後、上智大学、筑波大学などで英語講師を務めた後、2023年から家族でアメリカ暮らしを始める。著書に『たくや式中学英語ノート』シリーズ(朝日学生新聞社)、『MP3CD付き ガチトレ 英語スピーキング徹底トレーニング』シリーズ(ベレ出版)。TOEIC955点、TOEFL101点。
「たくや式中学英語ノート」全10巻
【著者によるYouTubeビデオ講義付き】

中学英語の基本を学年別・単元別に学ぶ、書き込み式薄型問題集シリーズです。
「中学生のときに英語が本当に苦手だった」と自認する著者がつくるテキストは、英文法を基礎の基礎から丁寧に解説し、豊富な問題で繰り返し英文を書かせるのが特徴です。前に習ったことの復習が何度も出てくるので、自分の弱点を知って、正しい英語を身につけることができます。
「たくや式 どんどん読める 中学英語長文」全4巻
【著者によるYouTubeビデオ講義付き】

学年別の単語・文法を使ったオリジナル長文(会話文・メールの文章・ブログの文章・講義など)を各巻11話収録。どの学年の方も、無理なくどんどん長文が読める仕組みになっています。定期テストや入学試験でよく出題される穴埋め問題や、文脈把握問題のほか、たくや式ならではの、「英語の文法を自分の言葉で説明できるか」を問うたくさんの問題を収録。
※本サイトに掲載されるサービスを通じて書籍等を購入された場合、売上の一部が朝日学生新聞社に還元される事があります。