コーチ重子のところには「子どもと何を話していいかわからない」「声かけに自信がない」「思春期の子どもに何を言えばいいのか」などなど、子育ての悩みがたくさん届けられます。

その悩み、今、私が真っ只中なので共感マックスです。なぜ真っ只中なのか?

私の娘は大学卒業後はニューヨークで仕事をしていましたが、昨年からアメリカ政府で仕事を始めた関係でワシントンDCに戻ってきたのです。そして実家に住み始めたのですが、25歳の大人になって舞い戻ってきた娘はなんだか全く別の人というくらい成長していて……。

でも私の中で娘はいつまでも子どもであって、特に実家に住んでいる娘のイメージは高校生の時で固定されているから、どうしてもそんな風に接してしまうのです。それが娘としては気に入らないようなのです。

これって、娘がプレ思春期だった時や思春期の時に一度通った道ですが、まさかまた経験することになろうとは。

メラビアンの法則

今、実践していることがあります。それは「言わない対話」。コミュニケーションには言語と非言語があります。言語はいわゆる声かけ、非言語は表情やボディーランゲージなど言葉を使わない意思の伝達ですが、言語で伝わるのは7%、非言語で伝わるのは93%と言われています。それがメラビアンの法則です。

何を言っても無視されたり、「うざっ」という反応が返ってくる時こそ、「言わない対話」が効果を発揮します。なぜなら、そんな時だって子どもは親に存在と価値を認めてもらって愛されたいからです。

そこで親が「じゃあもういい!」なんて反応をしてしまうと子どもは不安になってしまい、状況は負のスパイラルを辿ることになります。だから非言語で愛を伝え続ける。

娘が好きなおやつ(今、すきなものですが重要)、娘が好きな夕飯、そして何があっても機嫌良く、ポジティブな非言語を徹底しています。

親子の対話で悩んでいる保護者の方の参考になれば最高に嬉しいです。

親子で自己肯定感を高めるワークショップにて

ボーク重子

ライフコーチ。Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。福島県出身。大学卒業後、外資系企業に勤務。退職後、イギリスの美術系大学院で美術史を学ぶ。結婚後アメリカに渡り、アートギャラリーをオープン。著書に『子育て後に「何もない私」にならない30のルール』(文藝春秋)など。

(朝小かぞくの新聞2024年10月20日号)