
パソコンの「ウィンドウズ」などを手がけるアメリカ(米国)の会社「マイクロソフト」が、4月で設立から50年となりました。デジタルの世界で影響力を広げ続けています。
「ウィンドウズ」を開発、パソコンが使いやすく
Q どんな会社?
A 「マイクラ」も商品の一つ、AIの開発にも力

マイクロソフトという会社の名前を知っている小学生も少なくないでしょう。1975年に米国のビル・ゲイツさんとポール・アレンさんが2人で始めた会社で、パソコンで使われるソフトなどを作っていました。
彼らが1980年代半ばに開発したのが「ウィンドウズ」です。パソコンを動かす「オペレーティングシステム(OS)」というしくみで、日本でもたくさん売れ、世界中の人がパソコンを使いやすくなるのに貢献しました。今では世界のパソコンの7割ほどに入っているといわれます。

パソコンなどで文章をまとめたり、表を作ったりできるプラットフォームサービスの「オフィス」もこの会社が提供しています。学校や会社で課題やリポートを用意するのに広く使われています。
さらに、ブロックを積んで遊ぶ世界で人気のゲーム「マインクラフト」もマイクロソフトの商品。このゲームを開発したスウェーデンの会社を2014年に買収しました。ほかにもソフトウェアの開発者が協力して作りあえる「ギットハブ」、仕事のつながりを広げる「リンクトイン」、会社、病院、学校などが大切なデータを安全にあずけられる「アジュール」など、世界中で取り入れられているサービスを多く手がけています。ここ数年はAI(人工知能)の開発にも力を入れています。

Q 世界経済ではどんな存在?
A 使う人が多いぶん、トラブルの影響は大きい

マイクロソフトは世界で特に大きな会社をまとめて呼ぶ「GAFAM」の中の一つです。Google、Apple、Facebook(いまの社名はMeta)、Amazon、Microsoftの頭文字ですが、どの会社もインターネットや情報技術(IT)を支える大きな力となっています。
世界中の人々がマイクロソフトの商品やサービスを使うのは、経済学の世界でよくいわれる「ネットワーク外部性」が大きく影響しています。
友だちも学校も勤め先も、みんなが「オフィス」を使っていたら、同じサービスで書類や絵を交換できたほうが便利。すると「私も使おう!」となりやすいのです。こうしてサービスや製品を使う人が増えるほど、その価値や使い勝手が高まっていきます。
このようにしてマイクロソフトは私たちの暮らしや勉強、仕事のしかたを大きく変えました。そのぶん何か悪いことが起きると、影響が一気に世界に広がります。去年7月には他社のセキュリティーソフトの不具合でウィンドウズをのせたパソコンが次々に止まり、航空、医療、金融などはば広い仕事に問題が発生しました。

メモ
慈善事業に力を注ぐ創業者のゲイツさん
マイクロソフトを立ち上げたゲイツさんは、小さいころから本を読むのが大好きだったといわれています。新しい技術を次々と生み出し、世界中にパソコンやインターネットのしくみを広げました。中でも「ウィンドウズ」が世界で飛ぶように売れたことで、世界有数の大金持ちになりました。
いまは会社の仕事から少しはなれて、自ら始めた「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」を通じ、病気の予防や子どもの教育、世界の貧困をなくす活動に力を注いでいます。その発言は今も、世界から注目を集めます。
解説者
崔真淑
エコノミスト 「グッドニュース アンド カンパニーズ」代表取締役
◆ごめんなさい 5月8日の配信で、去年7月に「ウィンドウズのシステムに障害が起き」としましたが、正しくは「他社のセキュリティーソフトの不具合でウィンドウズをのせたパソコンが次々に止まり」でした。おわびして訂正します。(5月9日:編集部)
(朝日小学生新聞2025年5月3日付)

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