最も人口の多い首都での選挙 参院選うらなう
東京都議会議員選挙が13日に告示され、22日に投票と開票が行われます。結果がどうなるか、東京都に住む人だけでなく、全国から注目を集めます。なぜでしょうか?

Q なぜ注目されるの?
A 無党派層の支持する政党がわかる

全国47の都道府県議会の一つである東京都議会。その議員を選ぶ選挙が東京都議会議員選挙です。都内の42選挙区で127の議席が争われます。いまのところ約280人が立候補する見通しです。

約1400万人と、日本で最も人口の多い首都・東京での選挙。小池百合子都知事の政策を支持する自由民主党(自民党)や都民ファーストの会などが、過半数の議席を得られるかどうか、関心を集めています。ただ、それ以上に注目されているのが、7月に行われる見通しの参議院議員選挙とのつながりです。
東京はほかの地方に比べて地域や住民どうしのつながりが弱く、「無党派層」が多いことで知られています。無党派層は応援する政党が決まっておらず、その時の政治の状況を見て、どの政党の候補者に投票するかを決めます。
そのため、都議選の結果を見れば、その時にどの政党がどれだけの支持を集めているかや、有権者がどんな政策に関心を持っているかがわかります。
これまでも都議選の結果が、すぐ後の衆議院や参議院の選挙の結果と同じようになったことがあります。今回は参院選をうらなう選挙になると、注目されています。
Q チェックすべきポイントは?
A 自民党への支持や国民民主党のいきおい、石丸さんの新党も

今回の都議選ではまず、自民党の動きに注目です。党の中の派閥で起きた「裏金問題」の影響で、去年の衆議院議員選挙では議席を大きく減らしました。衆議院ではいま、議席が半分に満たない「少数与党」の立場。参院選でも大きく負ければ、石破茂首相はやめさせられるかもしれません。野党の党首が次の首相となり、「政権交代」が起きる可能性もあります。
自民党の都議会議員の間でも、裏金問題が明らかに。都議選で議席をたくさん減らすようだと、参院選ではさらにきびしい戦いになることが予想されます。
目がはなせないのが「年収の壁」を見直すとうったえ、衆院選で議席を4倍に増やした国民民主党です。いま都議会に議員はいませんが、候補者が何人も当選すれば参院選にいきおいがつきそうです。
さらに、去年の東京都知事選挙で票数が2位だった石丸伸二さんは、地域政党「再生の道」をつくり、都議選に初めていどみます。40人以上が立候補するほか、参院選にも候補者を出す予定です。
国民民主党の玉木雄一郎代表や石丸さんはインターネットを使い、若い有権者から支持されてきました。無党派層が多い都市部中心の都議選で「ネット選挙」がどれだけ効果を見せるか注目です。
メモ
東京都→国の選挙 過去には政権交代も
1993年6月の都議選では、熊本県知事だった細川護熙さんが前の年につくった日本新党から20人が当選。7月の衆院選でも自民党が負け、野党が集まってできた政権で細川さんが首相になりました。2009年7月には当時の民主党が都議会の第一党に。8月の衆院選でも大きく勝ち、自民党からの政権交代を果たしました。
17年7月には小池都知事が率いる都民ファーストの会が都議選で勝ち、自民党は議席が半分以下に。小池さんは「希望の党」をつくり10月の衆院選にのぞんだものの、安倍晋三首相(当時)の自民党が勝ちました。
■解説者
国分高史
元朝日新聞編集委員
(朝日小学生新聞2025年6月7日付)

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