撮影 土居麻紀子

電動アシスト自転車の販売額は近年、伸び続けています。電動アシストの専門店もあり、「モトベロ」は東京や大阪、名古屋などで7店舗を展開中。「代官山モトベロ」(東京都渋谷区)の店長兼スーパーバイザー、大地祐太朗さんにお話を聴きました。

パナソニックサイクルテック、ヤマハ発動機、ブリヂストンサイクルが国内の三大メーカーで、子どもを乗せるタイプは20万円前後が中心です。

乗せる子の年齢や人数によって特徴が異なり、大きくは「前乗せ」と「後ろ乗せ」の2タイプがあります。

前乗せ 撮影 土居麻紀子
後ろ乗せ 撮影 土居麻紀子

それぞれ基準があり、前乗せタイプは1歳~4歳未満で、身長100センチ未満、体重15キロ以下。チャイルドシートと自転車のハンドルに一体感があるのが特徴です。1歳になりたての子を後ろに乗せるのはまだちょっと……、という保護者におすすめです。「子どもが目の前に座っているので、コミュニケーションが密になり、安心感がありますよ」

後ろ乗せタイプは、1歳~6歳(未就学児)で、身長115センチ未満、体重22キロ以下が基準となります。後部にチャイルドシートが標準装備され、ハンドルの手前にもチャイルドシートが取り付けられます。子ども2人を乗せることが可能です。

撮影 土居麻紀子

保育施設への送迎を2人同時にするときなどに便利です。別売りのレインカバーもあります。

撮影 土居麻紀子

「前乗せ」でも「後ろ乗せ」でもシートベルト着用は必須ですので、忘れないでください。

「アシスト」の強度には基本的に3段階あり、「強」にすれば、急な坂道もかなり楽に走れます。

この取材の撮影を担当したフォトグラファーの土居麻紀子は2人の子どもが幼い頃、保育園の送迎用に電動アシスト自転車を導入しました。「仕事でヘトヘトになって迎えにいっても、2人を乗せて坂道も楽々、上れました。もうアシストなしの自転車には戻れないと痛感しました」

ヘルメット選びはフィット感大事に

ただ、「後ろ乗せ」のタイプも、子どもが小学生になると乗せられません。小学生がひとりで乗るのに向いているのが、ホイールサイズが14インチ、20インチといった小径タイプの電動アシスト自転車。最近では小学校高学年のお子さんをターゲットにしたタイヤサイズが小さく乗りやすい車種も発売されています。

楽にスピードが出ることもあり、大事なのがヘルメットの選び方です。自転車に乗る際のヘルメット着用は現在、「努力義務」とされていますが、「危険防止のため、特にお子さんには必ずヘルメットをかぶらせてください」と大地さん。

ネット経由で買うよりも実物を試着してからの購入がおすすめです。「内部がまん丸に近かったり、やや縦長だったり、製品によって違います。頭のかたちにフィットするヘルメットを選んでください」

撮影 土居麻紀子

すぐ小さくなるから、という感覚で大きめなサイズを選ばず、成長ぶりにあわせ、しっかりとフィットするものに買い替えを、と呼びかけます。

また、電動アシスト自転車は重く、子どもを乗せるタイプだと約30キロもあります。「転びそうになる場合に備え、サドルは足がしっかりつくように位置を調整してください」と大地さん。

「楽に走れる電動アシスト自転車は、行動範囲をひろげてくれます。ぜひ親子の成長の『アシスト』にいかしていただければ」

大地祐太朗さん

撮影 土居麻紀子

 「代官山モトベロ」店長兼スーパーバイザー 1989年生まれ。自転車が大好きで、5台所有。趣味の釣りに行くときは折りたたみ式の電動アシスト自転車をマイカーに積み、最寄りの駐車場からの移動に使うほどだ。

(朝小かぞくの新聞2025年6月20日付)