「親子deシネマ」は親子で楽しめる映画や映画館、ファミリーイベントを紹介する連載企画です。今回はコロナ禍で天体観測を通じて出会った学生たちを描く『この夏の星を見る』をご紹介します。

〇夜空に希望を見つけた子どもたちの物語
皆さんは「スターキャッチコンテスト」を知っていますか?「スターキャッチコンテスト」とは、同じ規格の天体望遠鏡を使い、指定された天体を望遠鏡に導入する速さを競う競技です。映画『この夏の星を見る』は、人気作家・辻村深月の同名小説を原作に、このコンテストを通して出会った学生たちのひと夏を描いた物語です。
舞台は2020年、コロナ禍でさまざまな活動が制限された夏。茨城県の高校生・亜紗はリモート会議の仕組みを使い各地で「スターキャッチコンテスト」を実施することを提案します。
茨城・東京・長崎と離れた場所にいながらもオンラインでつながり、それぞれの町の夜空を見つめる学生たち。家族のこと、友達のこと、将来の夢のことなどそれぞれに悩みや葛藤を抱えています。夜空の星をきっかけに、何もできなかったあの夏に小さな希望の光を見つけた子どもたちの物語です。

〇コロナ禍のあの夏を思い出す
マスクをして人と距離を取りながら過ごす子どもたちの姿に、映画を観ている私たちも当時のいろいろな思いがよみがえってくるのではないかと思います。私自身、当時小学1年生だった娘が、入学したばかりなのに学校に2カ月も通えなかったことを思い出しました。
本来であれば、みんなで集まって部活動に励んだり、放課後に話し合ったり、夏休みの思い出を作れたはずの子どもたち。それが突然奪われてしまったもどかしさや、先が見えない不安の中でそれでも夜空を見上げる小さな希望が、スクリーンを通してこちらにも伝わってきます。


〇フレッシュなキャストが集結!
主人公の亜紗を演じる桜田ひよりは観ている人を自然と笑顔にさせるような、明るく前向きなキャラクターを伸びやかに演じています。各地の学生を演じる若手キャストも皆フレッシュな魅力で溢れています。特に東京の学校の生徒を演じる黒川想矢、長崎県・五島の学生を演じる中野有紗は彼らの過去の出演作とはまた違った演技を見せてくれていますので要注目です。
そしてNHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』に出演している俳優陣が多く登場しているのも、ファンには嬉しいポイントです。特に岡部たかしの、どこか不器用で温かい存在感は大人の目線として物語をしっかり支えてくれます。


〇壮大な夜空はぜひ映画館で
天体観測のシーンが多いこともあり、画面には暗く静かなシーンが多く登場します。大きなスクリーンに映る夜空のシーンは格別です。壮大な星の輝きを、ぜひ映画館で体験してください。子どもたちにとっても、そしてお子さんを見守るおうちの方にとっても、きっとこの夏を特別なものにしてくれるはずです。

【親子で話そう!映画にまつわる会話のヒント】
- 夜空に浮かぶ星座、いくつ言えるかな?
- 「スターキャッチコンテスト」参加してみたい?
- コロナ禍の思い出を振り返ってみよう
紹介者 キムソニ
シネマサンシャイン 番組編成担当
https://www.cinemasunshine.co.jp/

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