
「親子deシネマ」は親子で楽しめる映画や映画館、ファミリーイベントを紹介する連載企画です。今回は山形県鶴岡市にあるミニシアター「鶴岡まちなかキネマ」をご紹介します。
――映画館の成り立ちについて教えてください。
三浦さん:「鶴岡まちなかキネマ」は昭和初期に建築された木造の絹織物工場をリノベーションした映画館です。開館は2010年ですが、新型コロナウィルス感染拡大の影響があり、2020年に惜しまれながらも一度閉館した過去があります。その後、鶴岡市民の方から「鶴岡市に常設の映画館を残してほしい。鶴岡まちなかキネマが復活してほしい」と1万人を超える署名が集まりまして、運営母体を「山王まちづくり株式会社」に変えて、2023年に再生オープンしました。「鶴岡まちなかキネマ」は鶴岡市民の声から復活した映画館なんです。

斎藤さん:私はもともと、旧鶴岡まちなかキネマの映写スタッフとして働いていました。その後マネージャーとして映画館全体の運営に携わっていたのですが、閉館とともに退職となりまして。まちキネが復活するというとき、前の支配人はもういなかったので「支配人を引き受けてほしい」と私に声をかけていただきました。
――鶴岡市民の声で再び生まれた映画館とのことですが、どんな特徴がありますか?
三浦さん:「山王キネまち大学」という名称で、市民の交流の場として機能しているのが一番の特徴です。市民が企画したイベント等、映画館を舞台に市民が主体となって福祉や文化交流を深める事業を開催しています。具体的には落語会やジャズコンサート、シンポジウムに子ども向けのお仕事体験など。映画館ではありますが、交流の場として映画上映以外の活用をしているというのは全国的にもかなり珍しいと思います。
――上映される映画はどのように決めているんですか?

斎藤さん:動員が見込める大手配給会社の作品と、鶴岡市民の皆様からのリクエストをバランスよくセレクトしています。鶴岡市の生協映画サークル様とお付き合いがあるので、よく上映作品の提案を頂くんです。社会派作品やドキュメンタリーが多いですね。繰り返しになりますが「鶴岡まちなかキネマ」は市民の皆様に支えられている映画館なので、なるべく市民の方の「観たい」という声を拾いたいなと思っています。
――至る所が「市民ファースト」なんですね。鶴岡まちなかキネマのビジョンがあれば教えてください。
斎藤さん: 一番は映画館を10年、20年、30年と続けていくことです。鶴岡市民の皆様や地域の関係各所の協力があって再生オープンから2年半運営してこられていますが、デジタル映写機の更新など維持費はかかります。ここをどう乗り越えるかですね。
三浦さん:あとは、映画館を通して鶴岡市の良いところをもっと全国的にアピールしていきたいですね。あまり知られていませんが、初代ゴジラを監督した本多猪四郎さんは鶴岡出身なんです。なので本多監督の作品や、鶴岡市をロケ地とした作品を積極的に上映していく方針です。もっと多くの人が、「鶴岡市」に注目してくれたらうれしいですね。
――最後にお勧めの映画を教えてください。
斎藤さん:今年は終戦80年の年ということもあり、戦争映画特集を組んでいます。9月いっぱいくらいまでやる予定です。「この世界の片隅に」「ひめゆり」「太陽の子」「満天の星」「黒川の女たち」「木の上の軍隊」など、いろんな角度から戦争を描いた作品を上映しています。鶴岡市は自然が豊かで観光資源も豊富な城下町です。ぜひ遊びにきてください!
▼鶴岡まちなかキネマの公式サイトはこちらから
https://www.machikine.net/

「朝小プラス」は朝日小学生新聞のデジタル版です。毎日の読む習慣が学力アップにつながります。1日1つの記事でも、1年間で相当な情報量に!ニュース解説は大人にもおすすめ。