トヨタ自動車は世界で最も大きな自動車会社です。愛知県に本社があります。日本をふくめ28の国・地域で車をつくり、日本や世界の経済に大きな影響をあたえています。

世界中で車を製造・販売 日本の経済支える
Q どんな会社?
A せんい工場の機械づくりがルーツ、販売台数は5年連続世界一

トヨタは2024年、200以上の国や地域で、高級車ブランドの「レクサス」をふくめて計1015万台の車を売りました。これは世界全体で売れた車の10台に1台以上にあたり、5年連続で世界一でした。
トヨタで働く人は、全世界で38万人以上にのぼります。トヨタの車づくりに関わる人は、さらに多くいます。自動車1台には数万点の部品が使われているからです。
国内では愛知県をはじめ、14の組み立て工場で計312万台を生産しました。このうち6割にあたる189万台は海外に輸出していて、日本の経済を支えています。
トヨタのルーツは、豊田佐吉がつくった「豊田自動織機」です。第2次世界大戦の前にさかんだったせんい工場で使う機械を発明し、会社を立ち上げました。息子の喜一郎はアメリカやヨーロッパで広がり始めた自動車づくりに挑戦したいと考え、1937年に独立してトヨタを立ち上げました。
最初は思うようにいかず、会社がつぶれそうになったこともありました。うまくいき始めたのは1960年代ごろからです。
必要以上に在庫(まだ販売されていない品物など)を持たない「ジャスト・イン・タイム」など、効率的に車をつくる「トヨタ生産方式」を確立。海外に負けない競争力を身につけ、成長しました。

Q トヨタを取りまくいまの環境は?
A 環境問題に対応する変革期、「トランプ関税」の難題も

自動車業界は今、「100年に一度の変革期」にあるといわれます。エンジンに使うガソリンなどの化石燃料が、地球温暖化の原因とされているからです。
トヨタは、エンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド車(HV)を世界に先がけて開発。環境への負担を減らせる車として世界をリードしてきました。一方、中国では走行中に温室効果ガスを出さない電気自動車(EV)をつくる会社が多く生まれ、一気に広がりました。トヨタも今、EVや水素で走る燃料電池車(FCV)など、環境に対応する車の開発に多額のお金をかけています。

各国の政策の影響も受けます。アメリカのトランプ大統領は自国の会社の利益を守るため、海外からの輸入品に高い関税をかける考えです。トヨタが日本から輸出する車にも関税がかかり、その分、利益が減ってしまいます。
安定しない経営環境の中、自分たちの利益だけでなく、仕入れ先の部品メーカーをふくめた雇用を守るためにどうすればよいか。難しい課題を抱えています。
最近のニュース
「ウーブン・シティ」まもなく始動

トヨタは静岡県に「ウーブン・シティ」というまちを建設していて、今年の秋ごろから動き出す予定です。「ウーブン」は「織りこまれた」という意味。トヨタのもとになった織機をイメージして名づけられました。研究者、起業家やその家族たちが住み、暮らす中で、自動運転や人工知能(AI)をはじめ、はば広い技術の研究開発を進めるねらいです。
このまちの構想を打ち出したトヨタの豊田章男会長(佐吉のひ孫にあたる)は、「1社やひとりではできない新しい価値や製品、サービスをつくりだせる」と、多くの参加を求めています。
■解説者
大平要
朝日新聞経済部記者
(朝日小学生新聞2025年8月2日付)

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