自己肯定感は「中庸」がちょうどいい

自分に自信があることはいいことですが、度が過ぎると「自分はスゴイ」と自信過剰になったり、他者を見下したり自分中心になってしまうことがあります。そういう人は、周囲から浮いてしまいますよね。自己肯定感は高すぎず低すぎず、ほどほどの「中庸」がいいのです。

自分のよさを知って自信を持つこと(自尊)と、あわせて他者を尊重すること(他尊)、両方とも必要で「自尊」と「他尊」のバランスが大切なのです。

これまでの回では、自分に自信をつけることをねらいとしたワークをしてきましたが、今回は他者を尊重することをねらいにしています。お友だちや家族のいいところを見つけて、言語化するように、うながしてださい。ポイントは、「いいところはどこだろうか」と、自分の意志の力でみつけ出すことです。

この連載の第4回「親自信も意識して。子どものセルフイメージを作るのは『発することば』」では、自分のいいところを探すワークをしていただきました。

親自信も意識して。子どものセルフイメージを作るのは『発することば』

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自分のいいところを探したときと同じように、相手のいいところを探してもらいましょう。そのときの気持ちが思い出せたら、相手のいいところを見つけるモチベーションがアップします。また、第5回「子どもの短所が気になる人におすすめ。「リフレーミング」で心に余裕を」も参考にしていただくと、ものごとを別の角度から見る練習になり、いいところを探す視点が増えてきます。

子どもの短所が気になる人におすすめ。「リフレーミング」で心に余裕を

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だれかのいいところを探せると、その人への尊重の気持ちが生まれてきます。同時に自分のことも認める気持ちも高まってきます。「自尊」と「他尊」ですね。この感覚が身についてくることで、本当の自己肯定感が育ってくるのです。

相手のアラを探すのでなく、他者のよい面を探してことばにしていくことで、人との関係がよくなってきます。親子で、相手のいいところを探す名人を競うのはいかがでしょうか。

【お子さま向けはこちら】

相手のいいところを見つける名人になろう

キミは人から「ありがとう!」と言われたり、「やさしいね」「カッコイイ!!」とほめられたりしたら、どんな気持ちになる? 照れくさいかもしれないけど、うれしいんじゃないかな。同じように、他の人もほめられたらきっとうれしい気持ちになるよ。

友だちや家族のいいところを見つけてみよう。「絵がじょうず」「おもしろい」。すぐ見つかった?

どうほめたらいいのかわからない人は、相手のことをよーく観察してみて!「いいところは、どこかな?」って、探すんだ。

いろんな方向から見ると、いい面が見つかるよ。「おこるとこわいけど、やさしい」「しゃべらないけど、しっかりしている」みんな、必ずいいところがあるよ。そしてね、声に出して言ってみること。心の中で思っているだけじゃ伝わらないから。

相手のいいところを探せると、その人のことが好きになってくるし、相手もキミに好意を持ってくれる。人のいいところを見つける名人になると、まわりの人と仲良くなったりと、たくさんいいことがあるよ。

ワークシートはこちらからダウンロードできます→https://p.potaufeu.asahi.com/asagaku/pdf/lesson/worksheet09.pdf

高取しづか

ことばキャンプ主宰。アメリカで生活した折、日本と欧米のコミュニケーションスキルの差に危機感を覚え、研究活動を行う。帰国後NPO法人JAMネットワークを結成。「ことば力」と自己肯定感を育てることばキャンプを推進し、全国で1万人以上に講演・研修活動を行う。著書多数。

高取しづかのブログ https://ameblo.jp/t-shizuka

ことばキャンプ http://kotobacamp.com/

(LINE NEWS「朝日こども新聞」2023年4月28日配信)