
このコラムは、子どもの「自己肯定感」を育てたいと思っているご家庭へお届けします。
失敗を乗り越え育つ自己肯定感
「子どもが痛い目にあわないように」「失敗しないように」と、心配するのは当然です。親心から事前に、あれこれ注意をする気持ちもわかります。
でも、人は失敗することで学びます。あなたは、失敗してつらい思いをしたり恥かしい経験をしたことで、気づいたことはありませんか?
私は、取材記者の駆け出しだったころ、取材の裏をとらずに思い込みで記事を書いてしまい、編集長に厳しく叱られたことがありました。後になってみれば、この経験は今でも私の財産になっています。失敗した経験があったからこそ、そこから学んで身につけていくのではないでしょうか。
子どもたちは、ケンカやトラブルなど、楽しくない体験もすることでしょう。それは子どもが乗り越える経験をするためのチャンス!だと思うのです。自分の力で、その難局を乗り越えた経験は、大人になってから役立つはずです。子どもは、自分で問題や困難を解決する力を備えています。子どもの力を信じて、見守りながら応援してあげましょう。
所属している学会で、不登校の子どもたちの自己肯定感を測定した研究データの発表を聞いたことがあります。苦しい最中は自己肯定感が下がっていますが、それを乗り越えた後の子どもたちの自己肯定感は、大きく上昇しているというのです。困難があっても乗り越えた後は、自分への自信が増してくるのです。
子ども時代にかすり傷程度のトラブルを体験させてあげることは、子どもを強くします。ただし、注意深く見ておくことも必要です。
子どもからSOSが出ていたら丸ごと受け止めてあげてください。ゆっくり待って、子どもが話を始めたら辛抱強く最後まで聞く。時にはその場から緊急避難もありかもしれません。安心安全な場で休養をとり、身も心も充電できたら、また送り出してあげましょう。
「失敗は学びのレッスン」です。おおらかに見守ってあげたいものです。
【お子さま向けはこちら】
失敗は学びのレッスン
失敗したこと、ある? スポーツでミスしたり、テストで間違えたり、友だちに言わなくてもいいこと言っちゃったり……。失敗したとき、落ち込んでしまうし、自信がなくなるよね。
大人たち、学校の先生や親だって失敗するよ。失敗したくないけど、誰だって失敗するもの。失敗って、マイナスのことばかりじゃない。失敗しなきゃ、わからないことがある。失敗によって、学べることがあるんだ。
たとえば、キミがサッカーでミスして失点の原因を作ったとする。みんなに迷惑をかけるから落ち込むと思う。でも、自分のプレーを反省して練習すれば、成長するチャンスになるんじゃないかな?
失敗してもいいんだよ! そのときに、勇気を出して間違いを認めて「何がいけなかったんだろう」「次は、何に気をつけたらいいのかな?」と考えること。気づいたことを実際にやってみることなんだ。
勇気を出して失敗から学ぶことができたら、キミはバージョンアップするよ!

ワークシートはこちらからダウンロードできます→https://www.asagaku.com/2023/worksheet07.pdf
高取しづか
ことばキャンプ主宰。アメリカで生活した折、日本と欧米のコミュニケーションスキルの差に危機感を覚え、研究活動を行う。帰国後NPO法人JAMネットワークを結成。「ことば力」と自己肯定感を育てることばキャンプを推進し、全国で1万人以上に講演・研修活動を行う。著書多数。
高取しづかのブログ https://ameblo.jp/t-shizuka
ことばキャンプ http://kotobacamp.com/
(LINE NEWS2023年1月30日配信)

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