
読者から寄せられた疑問を編集部が調査するコーナーです。今回は神奈川県の小学1年生、Yさんから寄せられた「インフルエンザって、どこからくるの?」という質問に答えます。
Yさん(神奈川県・1年)の疑問
去年11月ごろにの予防接種を受けたとき、インフルエンザは流行していないときはどこにいるのか、ワクチンをつくるときウイルスをどうやって弱めているのかなどいろいろと不思議に思いました。
国立感染症研究所の渡邉真治さんの回答
目に見えないだけで、世界中には一年中インフルエンザウイルスがいます。ですがインフルエンザウイルスは気温が低く乾燥した環境を好むので、冬場に多くの人がかかりやすくなり、はやります。
ウイルスは世界中に一年中いる
答えてくれたのは、インフルエンザウイルスにくわしい、国立感染症研究所の渡邉真治さんです。
インフルエンザを引き起こす原因はインフルエンザウイルスです。人間の体の中でこのウイルスが増えたときに、体を守ろうとする反応が起き、熱が出たりのどが痛くなったりします。
低温と乾燥を好む
実は「インフルエンザウイルスは普段から世界中にいて、一年中存在しています」。ですが日本で冬に季節性のインフルエンザが流行する理由は、このウイルスが「気温が低く乾燥した環境を好むから」。また、「寒いと体がウイルスと戦う免疫力が落ちるため、インフルエンザにかかりやすくなってしまう」といいます。
ほかにも「寒いと部屋に閉じこもり、窓をあけて空気を入れかえることが少なくなる」ことも冬に流行する原因と考えられるそうです。
これとは別に人間だけでなく、イヌやブタ、鳥などもインフルエンザにかかります。今シーズン大きな問題となった鳥インフルエンザも冬に発生しやすくなります。
これは冬の寒さをしのぐために日本にやってくる渡り鳥がウイルスを運んでやってくるからです。
しかし動物の間でウイルスが流行していくうちに、ウイルスどうしがまざりあうことがあります。それがまれに人間にうつり流行してしまうと「新型インフルエンザ」と呼ばれます。
流行防ぐには密をさけマスクを
ワクチンで「カバー」
インフルエンザウイルスは細胞にくっつくための腕のようなものを持っています。この腕で細胞にしがみつき、細胞の中に入ると細胞内でどんどんウイルスが増えてしまいます。
インフルエンザワクチンは、ウイルスが細胞にくっつかないように腕にカバーをかける役割をするものです。ウイルスを弱めるのではなくこわして作ったにせものをあらかじめ注射すると、人間の体はウイルスがやってきたと反応し、カバー(抗体)を作るようになります。これによってその後、本物のウイルスが来たときに体を守る働きをするのです。
ですがインフルエンザウイルスは、口や鼻など空気を吸うための場所から入ってくるので、「残念ながらワクチンではウイルスが体に入ってくるのを防ぐことはむずかしい」といいます。むしろ「感染したときの症状をやわらげるためのもの」。インフルエンザを流行させないためには、「密にならないことやマスクをして人にうつさないようにすること、免疫を下げないことが大切」ということです。
(朝日小学生新聞2023年2月28日付)

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