
読者から寄せられた疑問を編集部が調査するコーナーです。今回は小学生2年(兵庫県)から寄せられた「QRコードのしくみは?」という質問に答えます。
小学生2年(兵庫県)の疑問
よく見かけるからいままでは当たり前と思っていたけど、カメラで写すだけでウェブサイトに移動できるQRコードはすごい! いったいどういうしくみ?
デンソーウェーブ エッジプロダクト事業部 主席技師 原昌宏さん
QRコードの白い細かな正方形が「0」を、黒い正方形が「1」を示し、この組み合わせでひらがなやアルファベットなどを表しています。コードをスマホや専用の電子機器で読み取ることで、文字情報として記録したり、ウェブサイトに飛んだりできます。
白と黒の正方形の組み合わせで情報を示す
QRコードは日本で生まれた技術で、英語のクイックレスポンス(即答)の略からそう呼ばれています。デンソーウェーブ(本社・愛知県)の技術者でQRコードを開発した原昌宏さん(65歳)に聞きました。
スマートフォンのカメラをかざすだけでウェブサイトを開いたり、動画を見たりできるQRコードは朝小にもよくのっています。その仕組みについて原さんは「簡単にいうと、コードの白と黒の組み合わせで文字を表現しています」と話します。
QRコードは白と黒の細かな正方形(セル)の集まりです。「白が0を、黒が1を示します」と原さん。数字の並びでひらがなやアルファベットなどを表し、スマホや専用の電子機器で読み取ることで文字に変換します。ウェブサイトに飛べるのはコードがサイトのアドレスを表しているからです。

生産現場の声から開発
元々は工場などの生産現場向けに開発されました。製品や部品の情報を管理するバーコードの代わりとして誕生しました。
「バブル経済(1980年代後半に土地や株の値段がぐんぐん上がったこと)が崩壊し、ものが売れない時代。商品をよりきめ細かく管理したいという要望がきっかけです」
バーコードは盛りこめる情報量が不十分で、一部分がやぶれたり、よごれたりすると読み取れない課題がありました。
ただ、バーコードの開発はアメリカが中心で原さんたちはあまり期待されていなかったといいます。それでも、多くの情報を取り入れられ、素早く読み取れるQRコードの開発にいどみ、2年かけて94年に発表しました。
QRコードの特徴
- 大量の情報を小さなスペースに表現できる
- どの方向からも読み取れる
- 一部によごれやきずがあっても読み取れる
最大7089ケタ分の情報
ビジネスとして成り立つか不安もあったそうですが、生産現場からは好意的な声が寄せられたそうです。今では数字で最大7089ケタを取りこめ、0.03秒の早さで読み取ることができます。よごれやきずにも強くなりました。


2000年代以降、携帯電話の普及とともに利用は拡大。世界にも広がりました。現在はキャッシュレス決済のほか飛行機のチケット、電車のホームドアにも活用されています。
「一般の方にもこれほど広まるとは想定していませんでした。うれしいし、技術者冥利につきます」
今は文字情報のみですが、今後は画像など、より多くの情報を盛りこめることが求められているといいます。個人情報をあつかうことが予想され、厳重なセキュリティーも必要になってくるそうです。
原さんは小学生に向けて「自分の夢を持ってほしい」と話します。開発中うまくいかないときも「みなさんがQRコードで笑って喜んでいる」という「ビジョン」を力にしていたといいます。
「世の中の課題を解決するためには技術が重要です。個人としては技術を学んでほしいです」と話します。


(朝日小学生新聞2023年5月30日付)

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