
イギリスのオックスフォード大学に留学し、女性皇族として初めて「博士」になった三笠宮家の彬子女王殿下。当時の経験をつづったエッセーはベストセラーになり、テレビやラジオへの出演も話題になりました。留学にあこがれと不安をいだく朝小リポーター4人が、緑豊かな東京・赤坂御用地に彬子さまを訪ねました。※7月23日付の朝日小学生新聞で紹介したインタビューのロングバージョンです。(編集委員・別府薫、大野由香子)
朝日小学生新聞には500人近いこども記者「朝小リポーター」がいます。今回の取材では、彬子さまへの質問を広くリポーターから募り、4人が代表して聞きました。最も多くよせられたのは、留学についてでした。
英語の言葉は英語で理解、英英辞典を引く
かりんさん(小6) 彬子さまの本を読んで、ますます外国での勉強にあこがれるようになりました。英語を勉強していますが、英会話がとても苦手です。
あやねさん(小5) 私も将来、留学してみたい気持ちがあります。語学を勉強して話せるようになったとしても、自分の考えや本当の思いがちゃんと伝わるのか不安があります。
――私も英語が得意なわけではなかったので、日本で勉強はしていましたが、向こうで通用するような英語は全然話せなくて、すごく苦労したんです。
文法通りに話さなきゃいけないとか、まちがった話し方をしたら笑われちゃうんじゃないかとか、そんなことを思ってしまって、上手に話せないところがあったんです。
でも、話さないと何も考えていない人だと思われてしまう。「めちゃくちゃな英語でもいいから、話してみよう」と思うようになってから、だんだんにわかるようになりました。

――ここにあるのは、私が学生のときに実際に使っていた英英辞典です。最初のうちは、英語を日本語に訳した英和辞典を使っていましたが、1回調べてもすぐに忘れてしまうことが多くて。
でも、たとえばお友だちとの会話のなかでわからない言葉が出てきて、英語で説明してもらったときは覚えているのです。英語の言葉は英語で理解したほうがいいと思って、英英辞典を引くようになりました。
(辞書を開きながら)ここにgulfっていうことばがありますね。「湾」という意味ですが、辞書を見るとlarge bay 「大きな入り江」と書いてあります。「そうか英語だとそういうふうにいうのか」と理解できるから、知識が定着するんですね。
人との出会いが一番大きな宝物
なみさん(4年) 留学中に一番心に残ったこと、うれしかったことは何ですか。悩んだときに支えになった考え方があれば教えてください。
――目標にしていた博士号を取ることができたのは、一番大きなできごとです。それで得たものは何かというと、人とのつながりです。お友だちや先生方、(研究をしていた)大英博物館の同僚たち、本当にたくさんの人が助けてくれて、そういう人たちと出会えたことが一番大きな宝物です。

つらかったときもがんばる原動力になったのは、「博士号を取れませんでした」といって日本に帰れない、という思いです。博士号を取ることが目標でイギリスに行ったわけではありませんが、「取る」といってしまった手前、達成できずに帰ることはできないと、最終的には立ち返りました。
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